【ウォーハンマーTRPG】 ライクランド綺譚 【総評】


 シナリオ集大好きな一二三んです。GM専という訳ではないですが、それでもシナリオ集大好きな一二三んです。

 でもね、シナリオ集って売れないらしいんですよ。GM専だけしか買わないから、本当に売れないらしいんです。どの位しか売れないかと言うと、通常のサプリメントの1/5程度しか売れないんですって。

 確かに、サプリは全員買います。皆等しく買います。でもシナリオ集は、GM専しか買わない。GM1人にPL4人と言う比率から考えると、シナリオ集が1/5しか売れないというのは納得です。

 納得できない!

 だってシナリオ無いとTRPG出来ないじゃん!もっと売れて!

 僕はシナリオが欲しい。それもプロが作った、良質なシナリオが欲しい。出来れば沢山ほしい。だからシナリオ集を常に求めてます。
 そりゃシナリオだけなら、今のご世代ネットに幾らでもあります。でも昨今巷に溢れてる、素人が流行りで作った何とかスープみたいな、NPCが出なくて目星以外使わないフリーのホラゲみたいなシナリオ欲しくないのです。(何度かPL参加したけど面白くなかったぞい)
 だってTRPGやるんなら、NPCと駆け引きしたりイチャイチャしたいじゃないですか。様々な技能で困難を乗り越えたり、頭を使って工夫したいじゃないですか。……これが、この考え方が、意識高い系TRPGオジサン(老害)というのなら、謝りますけど。

 謝らない!

 僕のTRPG欲を満足させるのは、プロの作った良質なシナリオでないとダメなんです。もう ウチの子 とか言いながらシナリオとも世界観ともルールとも向き合わないセッションはコリゴリなんです。ああああああ意識高くってごめんねー-!!

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 力強く謝った所で、ライクランド奇譚というシナリオ集の感想を行います。
 システムはご存じウォーハンマーTRPG。そのダークな世界観に相応しい、奇々怪々なシナリオが盛り沢山のシナリオ集です。

 シナリオ数は5本。ページ総数は36項。値段は格安の1320円(税込)。一本当たりのシナリオは短いので、GMの負担はとても軽め。かつ内容はホラーからコメディまで多岐に富んでます。

 以後はネタバレ有りの感想になるのでご注意を。







 





以下、ネタバレあり。


以下、ネタバレあり。





















  



 全部のシナリオで共通点があります。それは、戦闘より機転を効かせてクリアしろ、です。

 このシナリオ集では、所謂ボス戦と言われる死力を尽くして戦うシーンは一つもありません。
 正確に言うと強い敵は居ます。居ますが、まともに戦って勝てる相手ではありません。

 そうなるとシナリオの解決は、NPCの会話やトンチに頼る事になります。戦闘を極力避けて、話し合いでの解決を望みます。こんなことばかりしてるとですよ……

 あったけぇ……。ウォーハンマーあったけぇ……。

 ってなります。いや本当に。このシナリオ集、全部のシナリオがあったかいんです。暴力まみれですけど、暴力で解決しないんです。人を思いやる温かい気持ちが無いと、クリア出来ないんです。ちなみに僕は、こういうのは大好きです。

 と暖かいのは良いですが、同時に人を選ぶとも思いました。会話に参加するのが難しい人や、ファンタジーTRPGなら最後は戦闘で、と思ってる人も居るでしょう。そういう人達からは物足りないと思われるかもしれません。
 それはごもっとも。せっかく武装したPCを作成したのであれば、それを戦闘に使いたいと思うのは当然です。武器振って魔法使って、キャッキャ言いながらサイコロ振るのは楽しいんです。それは疑いようがありません。

 戦闘が無いというのは知的なイメージあり何かと自尊心をくすぐられますが、同時に最低限の面白さの保証も無くなってます。ライクランド綺譚とはそんなシナリオ集です。

 あとですね……。報酬が無さすてPCが可哀そうになった。
 なんせ3本のシナリオが巻き込まれで報酬は無し。残り二つですが、執着は身を滅ぼすでは依頼人は金額を提示せずに実質タダ働き。狼の皮をかぶった羊でやっと報酬は出るけど、それが銀貨20枚と一週間分の農作物だけ。(ちなみにその報酬はパーティー分かPC一人分かはハッキリしてない)

 分かります?5本のシナリオで得た報酬の総額が、銀貨20枚と農作物だけですよ。

 ちょっとこれはあんまりなので、GMの裁量でちょくちょく報酬を出してました。連続でタダ働きだとゲンナリしてくるんじゃないかと危惧したのです。

 そんな報酬に厳しいシナリオですが、全てが全て、とても楽しめました。買ってよかったシナリオ集だと、心から思います。

 あとですね、これはPLの皆さんに謝罪なのですが
 色々とルールを間違えててごめん……。ルルブ読み難いんだもん。本当にごめんね。
 あとエルフ君は運命点を減らしたけど、あれは僕の間違いです。このゲームは100点ものダメージを受けても、軽傷で済む場合もあるのです。それを忘れてました。




 最後は謝罪。そしてライクランド綺譚の感想は以上になります。
 ウォーハンマーTRPGのシナリオ集は、まだ他にもあります。PLの皆さん、今後ともよろしくおねがいします。
 

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【ウォーハンマーTRPG】 溺れるなら共に 【ライクランド綺譚】

 今月も楽しいTRPGの時間です。楽しいので、ウッキウキで皆に語り掛けます。

GM「さて、毎度おなじみのウォーハンマーTRPG。今回のシナリオ名は【溺れるなら共に】という、何か水気の多そうな名前となってます」

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 ここで一旦間をおいて、恐る恐るPLに問いかけます。

GM「所で皆さん……水泳技能は持ってますか?」
PL「水泳?水泳って上級技能ですよね。持ってないです」
GM「持ってない!え?全員、持ってないの!!」

 僕は小刻みに震えはじめ、再びPLに問いかけます。

GM「……それなら、基本技能である船漕ぎはどうですか?誰か技能を振ってますか?そんで出来ればドカーンと沢山振ってますか?」
PL「船漕ぎですか?それなら初期値ですね」
GM「え”え”!初期値!さては皆さん!戦闘技能や探索技能ばっかりに振って、船漕ぎ技能は見向きもしなかったんですね!」
PL「んなの見向きもしねーよ」

 それを聞いた僕は、手の平で顔を抑えました。そうして 苦しい、溺れる、ああ、溺れるなら共に…… という今回のシナリオ名を唸ります。

 ……何かというと、これはセッション開始前の茶番です。寂しがりやな僕は、時折こんな奇妙な言動で人目を引こうと一生懸命頑張ってます。まぁ場合によっては、シナリオとはまるで関係ない茶番もしたりするんですけどね。例えばハブの物真似とか。

 と言う訳でウォーハンマーTRPG、溺れるなら共にのセッションを始めます。
















以下、ネタバレあり。


以下、ネタバレあり。
























 オープニングの戻ってきたボートのシーンから。

GM「さて、非常に奇妙な状況なので<知覚>テストを行って下さい。成功したなら、人型の何かが皆の乗ってるボートに乗り込もうとしてるのに気づきます」

 さっくり成功したので、ゾンビによる不意打ちは無し。このままゾンビとの戦闘に行こうかと思ったけど、僕はセッション前にやった茶番を思い出しました。

――そーいや船漕ぎ技能云々言ってたな。ちょっとここでロールさせてみよう

 僕は思い付きでの<船漕ぎ>技能を要求します。これに対して筋力自慢のスレイヤーが、見事に成功させました。

GM「はい、スレイヤーの振り下ろしたオールの一撃により、ボートに乗り込もうとした謎の人型は川の中に落っこちました。そんで必死に漕いで無事に川岸まで辿り着けました」
PL「オールでぶん殴るのは<船漕ぎ>なのか?」

 PLの突っ込みを華麗にスルーして、想定されたゾンビとの戦闘は無くなりました。まぁたったのゾンビ一体と無理やり戦闘させても面白くないので、これでOKとします。(ゾンビが10体くらい居たのなら強制的に戦闘をさせたのですが)

 こうしてPCは管理人のハーフリングと一緒に、宿に逃げ込みました。んで勘の良いPLは

「あ、これは屋敷を探索するシナリオなんだな」

 と理解して、颯爽と探索に乗り出します。

PL「GM、⑤の金庫にはどれ位入ってる?」

GM「(金庫の事は何もシナリオに書かれてないんだよね)ええと金庫ですが、すっからかんですね。きっと管理人のハーフリングが、全てのお金を食べ物とタバコに変えてしまったんでしょう。非常にハーフリングらしいですね」

PC「ここは料金所も兼ねてるんでしょ。お金が無いと不味いんじゃないの?」

GM「(ふへへ、知らないなー)んー、そこはハーフリングですから。困った事があったなら、親しい友人からちょっと借りればいいだけです。はい、無断でちょっと借りるだけ」

 そんなアドリブで、僕はハーフリングの名誉を地の底に叩き落しました。ハーフリングさんごめんなさい。



 それからしばらくして……。

 スレイヤーは勇気を出して、たった一人で中庭に飛び込みました。そこで大鳥の群れに襲われ戦闘になるのですが……なんとスレイヤーが無傷で勝利したのです。と言うかワンパンで倒しました。

GM「(あれ?これじゃ古代語の習得できないじゃん。困ったなぁ)」

 でもまぁいいかの精神でシナリオを進めます。と言う訳で以後は様々な怪奇に遭遇するも、何か良く分からない叫び声をあげるおっさん蛮族を眺めるだけになります。これでは情報不足になるかと心配しましたが、イベント【悪夢の幻視】で見事に地下墓の存在を突き止めます。

 PCは地下墓に潜り込み、そこでミイラになった族長と会うのですが、さぁ困った会話が出来ない。
 GMがアドリブで何とかします。

GM「偉そうな格好をしたミイラが、人間の兵士に手招きしてるよ」
PC「あい行きます」
GM「するとミイラは君の手を取って、鋭い刃物でピッと切り付けてきた」
PC「ちょ、おい!」
GM「でも!そうすると!ミイラの言葉が理解できるようになったよ!」

 こうしてミイラと会話できるようになったPCは、まず何より話し合いを望みます。いきなり攻撃とかしません。

PC「なるほど、この水漏れを無くせばいい訳ですな。それなら業者に頼めば(ここで職人と言わず業者と言ってしまうのは社会人あるある)解決しますぞ。ただ、幾らか実費が要りますが……」

 PCは交渉技能により、ミイラからお金を引き出すことに成功しました。んでミイラと雨漏り修理の約束をして、この恐ろしい惨劇から無事に生還したのです。

GM「はい、水漏れを修理して無事にシナリオ終了です。お疲れ様でした。今回も話し合いと約束による、優しいTRPGになりましたね。戦闘で解決しないのが、ウォーハンマーって感じですね」

 GMの頭が多少バグってるように見えますが、いやバグってるのかな?ああもう優しいコーンのデーモンが召喚されるシナリオとかないですかね?



 と言う訳で今回のシナリオは終了。皆さん、お疲れさまでした。
 んで次回はちょっと指向を変えて、少しだけ暴力のありそうなシナリオにしてします。暴力なんて!ウォーハンマーらしくない!と思ってるかもしれませんが、ウォーハンマーの良い所は多種多様なシナリオにあるのです。たまには戦闘もいいものでしょ?

【ウォーハンマーTRPG】 羊の皮を被った狼 【ライクランド綺譚】

 最近は連続でウォーハンマーTRPGやってます。人には進めにくいダークなTRPGですが、気心れた仲間となら明るく遊べます。

 んで幾つかシナリオを遊んだり読んだりして思ったんですが、ウォーハンマーTRPGって戦闘少なめで、会話とロールプレイ中心なゲームなんですね。信じられますか?

 カバーイラストからはモヒカンのドワーフが斧振り回してるため血生臭い闘争を連想させますが、シナリオの方は意外にも暴力沙汰になりにくいんです。下手すると ふしぎもののけRPG ゆうやけこやけ 並に戦闘がありません。(それは言いすぎですが、間違いなく 小さな勇者のRPG ウタカゼ より戦闘は少ないです)
 
 いえ場合によっては血生臭くはなったりしますが、大抵の解決方法がくトンチや会話なんですね。戦闘を選ぶとかなり厳しいものになったりします。

 何故?どうして?ウォーハンマーの住人はどう見たって、会話より暴力で解決しそうな見た目してるのに。でもシナリオでは、優しい非暴力な解決を好むんです。
 もしかして僕は遊ぶシステム間違えました?間違ってゆうやけこやけを遊んでましたか?そう思ってルルブを開いたら、ガンギマリした鞭打ち苦行者と目が合いました。ああ、これは間違いなくウォーハンマー。

 頭がすっきりした今回のシナリオ 羊の皮を被った狼 を読みます。読みこんで思います。
 うーん、このシナリオも非暴力な感じの、やさしいシナリオになりそうです。あったかふわふわ、です。

 しかし幾らシナリオが優しくても、セッションを行うのはPLです。優しくなるのか血生臭くなるのかは彼ら次第。どんな話を紡ぎだすのか、今から楽しみです。





















  










以下、ネタバレあり。


以下、ネタバレあり。














 
PC1「とっとと殺そうぜ!日が暮れちまうよ!」
PC2「上手い事森とかに誘い出せればなー、周りの目さえなければなー」
PC3「強盗を装って殺せば簡単だよね、殺しが楽しいんじゃ~」

 物騒な事を相談しあうPLに、GMは冷や汗をかいてます。

GM「(どうしよう。まだハインリッヒに会ってすらいないのにこの殺意。彼等の心には殺戮の神コーンが宿ってる)」

 何が起こってるかと言うと、依頼人から「困った貴族が居るので何とかしてほしい」と相談を受けたPCは、その場で貴族の殺害計画を練りだしたのです。早い、早すぎるのぜ。

 いや、ちょっと待ってください。本当にこのまま殺害ルートに進んでもいいのでしょうか?

 TRPGのシナリオはナマモノとは言え、このままPCが貴族の殺害に踏み切れば、それはGMの誘導不足と言われても仕方ありません。自由に遊ぶ事を提示するのも大事ですが、それと同時にシナリオ進行に幅を持たせることも大事です。また有料のシナリオを買った僕が少しかわいそうです。

 GM僕はそれとなく まずは現場を見に行ったらどうですか? と提案をしました。PLはその提案を渋々受け入れ、とりあえず貴族のハインリッヒに会う事になりました。

 会った結果、この貴族の性根は腐ってるので、殺害する意をより強固にしました。それと同時に

PL「……なんか胡散臭い。叩けば埃が出てきそうだ」

 と冷静に観察する事もやってます。ハインリッヒに疑惑をもったPCは、依頼人の家族に聞き込みをして情報を集めていきます。

 結果、ハインリッヒが農場のあちこちに何かを隠してる事を突き止めました。PCはその隠した物を探すべく農場を動き回りますが、そこで出会ったマクスおばさんに奇妙な違和感を覚えます。
 このおばさん、ボケた振りをしてるだけではないか?本当はすごい奴なんじゃないのか?いや、きっと凄い奴に違いない。

PL「わかった!」

 PLが手を叩いて言います。

PL「シナリオの第名である 羊の皮をかぶった狼 ってのはこのマスクおばさんの事だ!この人が一番の実力者(やべー奴)なんだ!」

GM「(おお!シナリオの第名にそんな意味があったのか!僕は全く分からなかったぞ!)」

 GMはPLの推察力に感服しました。

PL「という事でここは何としてでもマスクおばさんの協力を仰ごう」

 そう言ってPCは、マスクおばさんと胸襟を開いた会話を行おうとします。これに対してGMは悩みます。

GM「(うーん、マスクおばさんは正体を表すべきか伏せるべきか。シナリオに書かれてる通りにするならば、伏せるべきなんだろうけど……)」

 伏せるべきなんでしょうけど、それは違うと僕は思いました。PLが推理して正解を当てた事に対しては、GMは報酬を与えるべきだと思ってます。何をやっても同じ結末なら、それはあまり面白いものではありません。

 そうGMが判断したので、PCはマスクおばさんと協力し合う事になりました。結果、ハインリッヒの正体が偽貴族とバレても、マスクおばさんはハインリッヒを擁護しません。と言う訳でハインリッヒは、身分詐称したのがバレて依頼人に捕まってしまいます。

 ちなみにマスクおばさんが味方になったので、賞金稼ぎの二人組は登場させませんでした。このシナリオのクライマックスは、賞金稼ぎとマスクおばさんの板挟みによって発生する葛藤がメインなのですが、その葛藤が無くなった以上、二人の賞金稼ぎは蛇足と判断したのです。さよなら、カールとフーゴ。



 ハインリッヒの処置は依頼人に任せます。そしてPCは報酬を貰い旅立ちました。そしてそれは、今回のシナリオも戦闘が発生しなかった事を意味します。

 ウォーハンマーって本当に穏やかなTRPGですね。
 たぶん、そう、たぶん。


おしまい

【ウォーハンマーTRPG】 執着は身を滅ぼす 【ライクランド綺譚】

 今回は久々のファンタジーTRPG。最近はクトゥルフばかりだったんで、たまにやるファンタジーがとても楽しいです。

 システムはウォーハンマー4版。シナリオはライクランド綺譚から 執着は身を滅ぼす を使用。なぜこのシナリオかと言うと、僕が好きな奴が出てくるからです。

 ウォーハンマー、楽しいけどPC作成は少し大変です。特にルールブックが人数分無いなら尚更で、GM一人で対応するのはかなり大変。
 そういう時あったら便利なのがサンプルPC。でも基本ルルブにサンプルPCが無いというあんまりな具合ですが、発売してからしばらくして公式HPで発表されます。とても有難いので、今回はこれを利用してセッションします。

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PL:Yさん
選んだPC:スレイヤー

PL:Tさん
選んだPC:魔術師

PL:おろぽん
選んだPC:商人

PL:みきぷ
選んだPC:兵士


 このサンプルPCは、初期作成から2200点もの経験値を積んでる中級PCです。結構強い……けど未だに初期キャリア。早くキャリアアップしたいですが、悲しい事に装備品がありません。

スレイヤー「キャリアアップしたいけど、グレートアックス買うの無理ぞ。スレイヤーの信用度は物乞いレベルぞ、金ないぞ」

 と言う訳で沢山依頼をこなして、お金を貯めましょう。


















以下、ネタバレあり。


以下、ネタバレあり。








































 
GM「ぶりゅ!ぶりゅる!ぶりゅりゅりゅる!うんちいっぱいだぞ!!うんちだぞ!」

 GMは 第一幕:恐怖に凍り付いた野心のシーン を迫真の演技で演出してます。しかしふと素に戻って

GM「あの、すみません。本当にこんな描写なんです。ウォーハンマーって不衛生な描写が多くて、少しだけ下品なんですね」

 ぶりゅ、と余計な語尾をつけて謝ります。綺麗で衛生的なクトゥルフとは別物なゲームです。

 そんな汚いシーンを終えて、PCは依頼人のトーマスから依頼を受けます。 

PC「別にいいけど幾らくれるん?」

 そうだよね、依頼料気になるよね。でもごめん。シナリオには依頼料が書いてないのよ。いや本当に書いてないの。どこを探しても書いてないの。

GM(相変わらず洋物シナリオって分かりにくいな。依頼料書いてないし、それにP26にいきなり出てきた愛しのハーピーって誰だよ?思わず読み返したぞ。前置き抜きであだ名を出しても分からんし、人物紹介無しで登場人物出すし……ブツブツ)

 ブツブツ言いながら即興で依頼料を決めます。ずばり金貨1枚。結構高いんじゃないでしょうか?(そうなの?)

 PCは快く依頼を受けて調査を開始します。スグにチーズ屋へ行き、地下室が怪しいと睨みます。んで夜になって忍び込みます。ここら辺はとてもスピーディーですね。

PC「鍵開け?そんなのないからドアぶっこわすも!」

 そう、このウォーハンマーというゲーム。他のゲームじゃ当たり前の開錠技能がとても貴重なんです。持ってるキャリアは殆どありません。扉はぶち壊すのみです。(いいんですかね?これで)

 PCは人のいないタイミングを見計らい、ドアを破り地下室へ行きます。
 そこには、ハードタイプのチーズで作られた彫像がありました。そしてその彫像から……正確には、彫像の後ろにある穴から、とても優しい女の声が聞こえます。

「愛しい人、警備隊長さんは私がおすすめしたチーズを気に入ってくださった?」

 いきなり聞こえた声にPCは悩んだ後、店主の声真似をして対応します。判定は成功し、女の声は店主と勘違いしたまま話を進めます。
 女の声の正体は、店主の奥さんです。ただし奥さんは既に亡くなってますが……。

PC「ふーん、これは奥さんの声を騙る偽物だな。こいつやっつけたいなぁ。そうだ、チーズでおびき寄せよう」

 チーズをプレゼントするよとPCが提案します。チーズを貰えると知った声の主……邪悪なスケイブンは、目の色を変えてチーズをねだります。

「チーズ欲しいわ!沢山でいいわ!私の体はモールの元にあるけど、実はチーズだけは食べれるの!早くよこせでちゅ!」

 PCは臭そうなチーズを彫像の下へ置き、地下室から出た振りをします。スケイブンは腹の虫を泣かせながら穴から出てくる……ズドン!残念、穴の前のPCが待ち伏せしており、スケイブンは頭を割られて死んでしまいました。

 PCはスケイブンの死体、及び地下室に会った怪しい薬を証拠品として持ち去り、依頼人へ渡します。証拠を渡された依頼人は「あのチーズ屋が犯人で間違いない!」と警備兵に通報して、チーズ屋の店主は捕まります。

 裁判の結果、チーズ屋の店主は火炙りになりました。火炙り実行当日、足元に薪を積まれた店主は、涙を流しながら叫びました。

「本当なんだ!死んだ女房が生き返ったんだ!愛の奇跡なんだ!」 

 足元から上がる煙に咽ながら、店主は何度も叫びました。

おしまい





 冒険の合間

GM「稼いだお金は運用しないと全部なくなります。いや本当に」

 と言う訳で冒険外活動の時間です。今回は2回行います。みんなお金が無いので、全員が収入を行います。

GM「サンプルPCの兵士は元貴族だから黄金級?それは強い」

 他のPCが貧困であえいでるのに、兵士のPCは楽々金貨2枚を手に入れて盾を買います。恐ろしい格差社会で、何故かGMは泣きたくなりました。

スレイヤー「グレートアックスまで道が長いのぅ。貧乏は辛い」

 貧乏の辛さに、僕とスレイヤーは一緒に泣きました。

おしまい

【トレイル・オブ・クトゥルー】 籠が開かれたら 【引き出しの中身】

 最近のお気に入りTRGPはトレイル・オブ・クトゥルーです。発売されたばかりで専用のシナリオは少ないですが、これはクトゥルー神話TRPGのシナリオをコンバート出来るのでシナリオには困りません。

 今回のシナリオは引き出しの中身様より【籠が開かれたら】を使用しました。上のサイトでは上質なシナリオがフリーで使用出来るので、何回も使用させてもらってます。

 PC作成の前に、今回のシナリオの導入に出てくるNPC 川原佳代子(女・21歳・メガネ)の説明をします。そして彼女との接点を考えてもらいます。

KP「接点以外にも、原川佳代子をPCとして参加する事は可能です。また川原の存在を消して、別の探索者で上書きしても大丈夫です」
PL「上書きってことは消えるんですよね」
KP「はい、消えます」
PL「うーん、この娘はメガネ掛けてるんで消すのは勿体ない」

 おお、なるほど。

PL1「ねぇ、川原佳代子の兄とかダメ?」
KP「面白いですね。いいっすよ」
PL2「じゃあ私は親戚で」
KP「いいっすよ」

 KPのいいっすよ連発で、川原家には親族が2名ほど増えました。
 出来たPCは以下になります、

PC名:川原 一輝(川原佳代子の兄)
年齢:26
職業:聖職者(仏教、なまぐさ)
動機:傲慢
PL:おろ

PC名:秦 明日香(川原佳代子の母方の親戚)
年齢:24
職業:軍人(自衛隊)
動機:冒険心
PL:みみみみ

PC名:山城 京介
年齢:25
職業:作家
動機:好奇心
PL:ヤス田

PC名:南原 純彦
年齢:52
職業:科学者
動機:功名心
PL:しだ







以下、ネタばれあり。











以下、ネタばれあり。














 川原佳代子の兄である一輝は、生臭坊主になりました。高潔な性格だと動きづらいというのが理由です。そして制作中に他PLのくだらんチャチャ等が入り、とてもヤバ目な探索者に仕上がりました。

 楽しいPCを作成して、プロローグ開始。

 シナリオ開始の季節は夏。生臭坊主である一輝は両親から電話を貰います。妹の佳代子が就職活動中に一輝の近くへ寄るので、面倒を見てやってほしいと頼まれます。一輝は二つ返事で引き受け、更に良いタイミングで他の探索者がやって来ます。

 全員合流。NPCの佳代子は兄以外の人たちを見て、開口一番、目に涙を浮かべてこう言いました。

佳代子「皆さん、兄が、いっつもご迷惑をおかけして、本当に、申し訳ありません……!」

 今回のシナリオは、妹の謝罪から始まりました。まだ何もしてない兄の一輝ですが、初期作成のPCの性格なんてライブ感覚で作られるのです。

明日香「やっほー佳代子ちゃん、明日香だよ。久しぶりー」
佳代子「?」
明日香「えーっと……親戚の明日香だよー」

KP(おっと、兄の存在感が凄すぎて親戚の明日香の設定忘れてた)

KP「佳代子はとても格好良くなった明日香にビックリしてますね。(これで誤魔化したれ)」

 そんな勢いのままセッションを開始。【6.少女を連れて】のシーンを開始させます。

KP「えーと少女の言う事には、一輝を訪ねて来たんだとか。んで一輝はこの少女を知ってます。徳見家のお嬢様ですね」

 NPCと舞台の詳細を説明し、シナリオを進めます。

一輝「よし、それなら徳見家にこの子を送ろう。みんなも付いて来てくれ。今の時期だと面白いお祭りやってるよ」
他PC「うっす」

 ここで本気になって拒否する人はうちのメンバーに居ません。居させません。
 こうして妹の佳代子を残して徳見家へ向かおうとしたのですが(GM曰く、NPCの役割は冷淡に処置するべし)しかし明日香が待ったをかけました。

明日香「連れていくのは11歳の女の子でしょ。PCは全員男ばかりなので、お世話役に佳代子を連れて行ってあげたいんですが」

 KPは、この申し出に、感動してます。なんて優しい提案なんだ。NPCを個人でなく舞台装置として扱ってた僕は目頭が熱くなりました。

 こうしてNPCの佳代子を加えた一同は、徳見家へ向かうことになりました。



 その前に、少女のお願いで遊園地へ行くイベントをはさみます。これはエンディングの演出に必要らしいので、KPは頑張ります。聞けPL共、オッサンKPの迫真のロリボイスを。かわいいか?かわいいだろ。かわいいと言え。

 間違いなくかわいいイベントを終え、いよいよシナリオの舞台である徳見家へ出発します。

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 【シーン8.籠祭りの夜】
 ここでもう一人の少女と会いますが、まだ何も情報が出てないのでPCはシナリオに身を任せます。

 【シーン9.徳見家の人々】
 少女を徳見家に引き渡し、シナリオ終了。みなさん、お疲れ様でした!

 ……と言うのは面白くないので、以後は自発的にPCに行動を起こしてもらいます。んで僕のプレイスタイルですが、こういう時はメタ的にPLと話すことが多いです。依頼はないけど、事件を解決してほしい。事件らしいものは起きてないけど、シナリオ解決のための動機を作って欲しい……てな具合です。

 と言う訳でPCは、徳見家の謎を探ることにしました。ここで帰るPLはうちのメンバーに居ません。居させません。そして動機としては、祖父の徳光を探すと言う事にしてもらいました。

 【10.集会所の資料室】、【11.川原俊光の家】、【12.籠の蔵】のシーンをこなして、徳見家の情報を集めます。その情報とは、徳見家の儀式のためにあの少女が生贄になると言う恐ろしいモノでした。これを阻止すべく、PCは深夜に儀式の舞台である島之池へ向かいます。

 時系列ですが、PCは徳見家より先に島へ上陸した事になりました。そうなると【15.ニョグタの部屋】での演出がおかしな事になってしまいます。(ここら辺はちょっと分かりにくかったです)
 なので総合性を合わせるために、PCのすぐ後に徳見家を島へ上陸させる事にしました。

KP「ほこらを進んでる君たちですが、背後から複数の足音が聞こえてきました」
PL「隠れて様子を見ます」

 KPに促され技能ロールを行います。判定は成功。PCは無事に隠れる事に成功しました。

KP「足音の主は徳見家の一味だね。ご夫婦に使用人3人に少女が2人の計7名です。んで奥様が行き止まりになってる壁に手をかざしたら、なんと壁が消えて通路が表れました。徳見家は通路を進んでいくよ」
PC1「もう我慢できないよ!さっさと殺そうぜ!」
PC2「少し待とうよ」

 血気を抑えてとりあえず様子見。なので【16.徳見家との対決】のシーンを開始します。ここまでくると流石に「なんかヤバそうな儀式やってんな」となります。これ以上の様子見は出来ないと判断し、PCは奇襲を仕掛ける事になりました。奇襲の対象は、儀式を行ってる奥様です。

KP「うん……そうなるよね。真っ先に魔女っぽいのを狙うよね。しかもこの奇襲は成功する可能性は高いよね」

 KPは困りました。何故ならシナリオには、こう書かれてます。

キーパーは徳見幸恵1をなんとしてでも洞窟の外まで逃がしてください。

 KPの権限を使えばそれは可能です。もっともらしい説明も、付け加えられます。
 しかし、とKPは思います。シナリオに沿うことも大事ですが、それと同じくらいPLの意思や行動を尊重したいです。PLは自分達の立てた作戦で、悪い魔女を背後からグッサリやりたいのです。背後からグッサリ→作戦成功→ハッピーエンド。これはとても気持ちが良いに違いありません。

KP「(ええい、TRPGはナマモノだ。ここで魔女が死んでもアドリブで何とかしちゃる)」

 KPは決意しました。シナリオの意に反して、ダイスの結果次第で魔女を殺してもいい事にしました。しかしこの判断が、のちに恐ろしい事態を招くのです。



 結果、PCの奇襲は成功し、魔女は応戦する間もなく気絶しました。それと同時に使用人達の動きが止まります。使用人はゾンビであり、魔女の奥様が命令せねば動かなくなる……と言う事にしました。

PC「よっしゃ!大将の魔女を気絶させたぞ!あとは夫だけだな!」

 PCは鼻息荒く夫に襲い掛かろうとします。しかし夫は戦闘の意思はありません。それは何故か?KPは説明します。

KP「夫はこの状況を絶望的だと判断してます。自分1人で武器持ちの4人にはまず勝てない。そして自分が負けたら、妻である魔女が助かる事はない。それならばと別の可能性にかけます」

 夫はPC達に言いました。自分達の仲間になる気は無いか?と。何と夫はPC達を勧誘して来たのです。魅惑的な報酬を約束しますが、それに乗るPCではありません。勧誘を拒否して夫を殺そうとします……ただし、一名を覗いて。

PC2「うーん、これもしかしたら改心する可能性は無いかな?だって残された少女、娘の事を考えれば、簡単に殺す気にはなれないよ。夫婦は改心して、娘と一緒に仲良く暮らしていくのが一番のハッピーエンドだと思う」

 おお、なんて優しいんだ。KPは感動しました。KPの心がジーン、ホワホワとしたので、こりゃ改心ENDもありかなと思い始めました。
 いや無理だ。KPは首を横に振ります。このNPCが改心するなんてありえない。生かして置いたらまた悪さをする。このNPCは、そういう設定に作られてるのだ。

 夫の処置をめぐり、PLは話し合いを始めました。その結果、この夫婦、特に魔女が改心するのは無理だと判断しました。その理由はゾンビ達です。このような残酷な方法を取る魔女は、もう手遅れだと判断しました。

KP「ええと、勧誘を拒否するんだね。そうすると夫は刀で切腹しようとします。奥様、お供しますと言いながらね」

 しかしここでKPの意地悪が発動します。なんと二人の娘が夫に抱き着いたのです。お父さん、お母さん、死なないでーと言いながら抱き着いたのです。

PC「うわ、何でそんな事すんの?」

 理由は三つ。

1.そうなるのが自然だから。
2.KPが楽しいから。
3.もひとつおまけに、KPが性的に興奮するから。


KP「いいですか皆さん!この娘達はね、君達がお母さんを殺そうとしたのを見てますよ。いきなり背後から襲い掛かって、凶器で滅多打ちにしたのをね!そしてお父さんまで殺そうとしてるのも知ってます!(正確には違うけどまぁいいや)」

 はい、そうなんです。ここで魔女を倒したら、とても面倒臭くなるのです。【イベント17.解き放たれた神】が無くなるだけはありません。こんな純粋な少女達の目の前で、両親を殺害する羽目になるのです。

 とは言っても、この夫婦を生かす事は出来ません。PCは泣き叫ぶ少女たちを無視して、夫に自害を進めました。はよしね。

 夫は娘達の前で、刀を鳩尾に突き立てます。そして苦痛に顔をゆがめながら、刀でお腹を十字に切り裂きます。それは見事な切腹でした。

 泣き叫ぶ少女達を横目に【18.元の姿に】を始めます。2人のうち、1人の少女の姿が消えていきます。KPは消えゆく少女を演じながら、シナリオに書かれてるセリフを読み上げます。

KP「ええと、消えゆく少女は言います。
『私はいなくなって、あなただけになってしまう。あなたが本当の私みたいだから……けど、私とあなたは同じじゃない。私は一輝さん達と 一緒にいっぱい楽しいところで遊んで……』

 あれ?なんか今の状況と違うぞ。このセリフが今の場に相応しいか?目の前で両親が死んだんだぞ。KPしっかりしろ!シナリオの棒読みはやめろ!
 とは言えここで恨み言のセリフを言わせるほど、KPの心臓は強くありません。アドリブ好きなくせに狼狽えやすいのが、一二三んというKPなのです。



 最後のイベント【19.大円満】を終えてセッション終了。……大円満?いや、これは間違いなく大円満。みなさん、ありがとうございました。

 感想ですが、各所にPLの優しさが感じられた素敵なセッションだと思いました。少女の為にNPCの佳代子を連れて行ったり、夫婦を助けようとしたり。最後はまぁ、あんな感じになりましたが、TRPGはナマモノだと言う事で一つ勘弁をお願いします。

 ちなみに僕個人の考えですが、強制的にシナリオに這わせるより、PCの判断でシナリオが作られる方が素敵だと思います。もちろんそれは一つ間違えば大惨事を引き起こしかねない、危険な考え方です。しかし勝手知ったる仲間同士、僕達なら大丈夫です。

 みなさん、また次回もよろしくお願いします。
 
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