【新クトゥルフ神話TRPG】 野生の丘 【アーカムのすべて】


高潔なる探索者たちは、2、3日科学に没頭しようとするが
不運にも荒々しい情熱に邪魔されてしまう






 探索者引き続きで行う1920年代アメリカのセッション。今回で4回目。そろそろ探索者の正気度もピンチになる頃です。
 今回のシナリオはサプリメント【アーカムのすべて】から【野生の丘】をチョイス。題名通り、かなり荒々しいシナリオになります。

 なおNPCのジェーンお嬢様は、今回は参加しない事になりました。なぜかというとお助けNPC無しで挑む方が、このシナリオをエンジョイとエキサイティング出来ると感じたからです。探索者達は便利なアイテム(?)であるNPCの力に頼らず、この惨劇に挑む必要があります。

 





以下、ネタバレあり





以下、ネタバレあり











「んっほーーー!!ぽんぽが、ぽんぽが痛い痛いですわーー!」

 セッション開始と同時に、NPCのジェーンお嬢様は絶叫しました。お腹を押さえて、地べたを転がりまわってます。

 探索者達は……突然の出来事に、呆然としました。確かにジェーンお嬢様は前回のシナリオから(KPの気紛れで)性格がおかしくなりましたが、ついにおかしくなり過ぎて正気度が0になったのでしょうか?
 探索者は「ああ、きっとそうに違いない」と悲しみました。邪神(KP)の気紛れで、ジェーンお嬢様の頭と精神は取り返しのつかない事になったのです。出会った当時は優しくて凛々しい少女だったのに。ああ残念。

 そんな残念がる探索者達に
 KPは言いました。

「今回ジェーンはシナリオの都合上、一時的に離脱します。何故ならNPCが居ない方が楽しめるシナリオだと思ったからです」
「あ、そっかぁ……」

 安心したのやら残念がったのやら。ともかく探索者たちは自分達の力だけで事件に挑みます。



 導入が宇宙的恐怖を感じさせるけど、実は何の関係もないシナリオ。そもそも宇宙云々というのが凶悪なミスリードなのです。探索者達は存在しない宇宙的恐怖に注意を払うけど、まるで想像してない個所から攻撃を受ける。そんな楽しいシナリオです。

 しかしそれを知ってるのはKPだけなので、素知らぬ顔をしながら宇宙的なエネミーをちらつかせる演出をします。

「空から、パタパタ。脳みそ、ちゅっちゅ」

 あからさまですね。ミ=ゴですね。楽しいです。

 さて探索者達は隕石を探す途中に、荒野の一軒家にたどり着きます。ここで真の敵であるリーヴァイと接触するのですが、彼はいかつい見た目に反してとてもフレンドリーです。でも敵なのは間違いないので、KPは慎重にヒントを与えていきます。あれ?こいつなんか変だぞ、と思ってくれれば幸いなのですが……。

 リーヴァイに不信を抱いたのは、かなり早い段階でした。リーヴァイは初日の探索について来たのですが、そこで探索者をトラバサミの罠に引っかけようとします。それは目星で回避したのですが、ここでリーヴァイはこう言います。

「罠を示す名札が外されてる。これは一体……?」

 迫真の自演ですね。これに対して探索者は、リーヴァイの息子を疑います。んでそれに乗っかるリーヴァイ。

「そんな、息子が!いや、でも、そういえば……。
 ああ!探索者諸君、すまない!こ、これは私の責任だ!私がうっかり、罠の名札を外したのだ!」

 息子をかばう様で全然かばってないこのセリフ。つまりリーヴァイは息子を容疑者に仕立て、自分を信用させようとしたのです。
 ちなみにKPはその間 「空から、パタパタ。脳みそ、ちゅっちゅ」 と変なチャチャを入れてました。探索者はこのKPの糞情報に引っかかってくれるのでしょうか?



 その晩、リーヴァイは息子を人目につかないところに呼び出して、話し合いをします。探索者はそれを覗き見しますが、リーヴァイはその事を計算してました。

「息子よ、何か、困った事や悩んでる事はないか?この父に何でも相談してくれ」

 悲嘆にくれる声を出す父の問いに、息子はこう答えます。

「……ふん、しらじらしい」

 こっそり聞いてた探索者たちは、こう思いました。あれ?これもしかして親父が悪いんじゃね?

 この時僕は「しまったなー、ヒント直接過ぎた?犯人特定されたっぽい?」と焦りましたが、ええい、行けるところまで行ったれ!と気持ちを前向きに切り替えます。KPは困った時にPLに相談はしても、動揺を顔に出してはならないのです。

 次の日。
 再び森の中へ探索に出向く一向に、リーヴァイはこう提案しました。

「隕石が落ちたと思われる森は広いから、手分けして探した方が良い。あまりゆっくりしてると、隕石が埋没しかねないからな。あと私は今日は行かない事にした。ちょっと息子と、話があるんだ」

 ふーんそうっすか、と探索者は二つのグループで捜査する事にしました。これに対してリーヴァイはガッツポ。早速襲うことにしました(!?)。

KP「それならペンクロフトのチームから先にやります。悪いけどそれ以外の人は、ちょっと席を外してください」
PL「んん?」

 PLは意外な指示に驚きますが、とりあえず席を外してコンビニへ行きます。その間にペンクロフトのチームには、酷い目に合ってもらいましょう。

 森の中を進むペンクロフト達。大きな木々が周りを囲ってあり、大声を出してもかき消されてしまいそうです。ペンクロフトは思います。前回の遺産騒動ではひどい目に合った。まぁ悪い事と言うのはそう起きないもんだから、あまり緊張せずに捜査しよう。

リーヴァイ「おおい、まってくれー!大変な事が起きたんだー!」

 突然の事でした。リーヴァイが叫びながらこちらへやってきます。しかも両手には大きな斧を持って。

リーヴァイ「それはお前らを殺すことだ!!」

 問答無用で戦闘に入ります。戦闘は能力値グレーターなリーヴァイが先制を取り、ペンクロフトに両手斧の一撃を叩き込みました。

ペンクロフトのPL「あ、そのダメージなら死んでる」
KP「!!」

 しまった!新班では最大HP以上のダメージを受けたらダイス振る間もなく即死だったんだ!うわーやりにくい!ほ”んとう”にや”りに”くいに”ゃあ”!

KP「……ん?防護点あるんでギリギリ大丈夫ですね。昏倒です」

 ホッと一息。幾ら死にやすいクトゥルフと言えど、こんな死に方はあんまりです。

 ともかくペンクロフトが戦闘不能になったので、もう一人の探索者は降伏しました。リーヴァイは無抵抗の二人を縛り上げ、邪神の住処へ連れていきます。二人とも生贄にするつもりです。連れていかれる際、もう一人の探索者は自分の血を使って道に目印を付けます。結果的にこの目印が、二人を助ける事になりました。

 さて、話はもう一つのチームに移ります。彼らは森への捜査を終えてリーヴァイの家に戻りましたが、夜になってもペンクロフト達が戻ってきません。二人は心配になって探しに行こうとしますが、それに対してリーヴァイが待ったをかけます。

「夜の森はとても危険だ。道が悪い上に毒蛇、毒虫、野犬までいる。二人が心配なのはわかるが、無茶をしてはいけない」

 そうは言われても、ペンクロフト達は仲間です。見捨てる訳にはいけません。危険を承知で森の中へ行きます。
 これを見たリーヴァイは

「ふん、都会もんが夜の森を舐め追って。悪けりゃ死、良くても大怪我して戻ってくるに違いない」

 と常識的な考え方をします。実際KPも探索の判定は厳しくして、やっかない障害物も出すつもりです。

 とは言えダイス目次第でどう転ぶのか分からないのがTRPGと言うもの。今回の探索者達はダイス目に恵まれており、夜の森にも関わらず攫われた二名の救出に成功させます。いやマジで。

 救出された探索者は、リーヴァイが犯人と訴えます。探索者達は「ああ、そっか、それなら今からリーヴァイをぶち殺してやろう」と、銃器で武装して襲いに行きます。ここら辺の発想とスピーディーさは、ものすごくアメリカチックですね。現代日本クトゥルフでもこうありたい(!?)

 リーヴァイは能力値がグレーターですけど、人間の域を脱してません。つまり銃器を持った探索者四名には勝てないのです。と言う訳でリーヴァイは散々に撃たれて、しかも家に火をつけられました。うーんアメリカン。

 そんな迫真の一転構成なシナリオ【野生の丘】。とても楽しめました。皆さん、また次回もよろしくお願いします。
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【新クトゥルフ神話TRPG】 サイラス叔父の蔵書 【アーカムのすべて】

ある目的のためにアーカムにやってきた探索者だが
思いがけなくも別の目的が出来てしまった。



 探索者引き続きで行う1920年代アメリカのセッション。この時代のクトゥルフ神話TRPGは、公式シナリオ多数で助かります。今回はサプリメント【アーカムのすべて】を使用します。旧版のルールで書かれてるサプリメントですが、クトゥルフ神話TRPGではほぼそのまま使えます。

 KPはこのシナリオを使用するにあたって、探索者達にお願いをしました。申し訳ない顔をしながら

「そろそろ愛着の出てきた探索者にお願いがあります。恐縮ですが、実は孤児だったと言う設定の探索者は居ませんか?シナリオの都合上必要なのです」

 このお願いに対して「今更言われてもなー」とか「クトゥルフでPC1役なんて絶対嫌っす」というPLの皆さん。そりゃそうですよね。
 しかしどうしても必要なら「仕方ないにゃあ」と言うことで、私立探偵のペンクロフト がその役を引き受けてくれました。ありがてぇありがてぇ。




以下、ネタバレあり。

以下、ネタバレあり。



















 ペンクロフトは、自分の事を天涯孤独だと思ってた 。親も居なければ兄弟も居ない。そんな風に思ってた。ずっと前からそうだった。

 しかし、実は顔も名前も知らない親戚(叔父)が居ました、でもついさっき死んじゃった!という衝撃的な展開からスタート。
 何が何だか分からないけど叔父の遺産が貰えるらしいので、取り合えず法的な手続きをしなければなりません。その為に一同は、叔父の遺産を担当してる弁護士事務所へ向かいました。

 突然生えた孤児という設定に、NPCのジェーンお嬢様は大層驚きました。

ジェーン「まぁペンクラフトさんは天涯孤独の孤児でしたの!私そのような方初めて見ましたわ!ところで孤児の方はどんな暮らしをなさってますの?興味がありますので教えてもらってよろしいかしら。
あ、でもペンクラフトさんは叔父様がいらっしゃるので天涯孤独と言う訳ではありませんね。失礼しました。あ、でも叔父様が亡くなったのでこれで本物の天涯孤独の独り身ですわね!んっほーー!!」

 ジェーンお嬢様は興奮と悲しみで絶叫しました。しかしジェーンお嬢様ってこういう性格でしたっけ?まるで違う気もしますが、KPのノリで性格が改変されるNPCってのはよくあるのです。

 くっそウザいジェーンお嬢様に舌打ちしつつも、探索者は弁護士事務所を訪れます。でも探索者の中には

「あれ?俺まるで関係なくね?」

 と首をかしげる者も居ました。確かに他人の遺産相続の手続きに付き合う理由はありませんね。ぶっちゃけると、シナリオ導入の動機が弱い。
 しかしそんな探索者に向かって、ジェーンお嬢様は目に涙を溜めて訴えます。

ジェーン「無関係って、何をおっしゃるんですの!このペンクロフト様はとても可哀想で哀れな人なのです!孤児で、一人身で、足が臭くて、そんな不幸な境遇の中でもがき苦しんでますの!そんな方を見捨てるなんて、出来るはずがありませんわ!」

 探索者達はそろそろジェーンお嬢様を黙らせたくなりましたが、ここは大人の対応をして淡々とシナリオを進めます。

 残された遺産には、持ち家と家財がありました。しかし持ち家の状態は酷く、とても売れそうにありません。だからと言って空き家にしておくのは治安上良くないので、家は解体することにしました。
 代わりに家財の方はそれなりに値がつきそうです。探索者達は代理人を頼み、家財を売りに出そうと決めます。これで遺産の処遇は終わったので、あとは叔父の葬儀をすれば法律上の手続きは完了です。

 そしてやっと、シナリオ本編が始まります。



 さて、精神病院を脱走したダーカス叔父。んで脱走したのはいいですが、脱走方法はシナリオに書かれてません。僕はその事を、PLに質問されるまで、気づいていませんでした。

PL「職員に質問ですが、ダーカスはどうやって脱走したんですか?」
KP「(硬直)ええと、ええと、職員が言う事によるとですね......(深呼吸)ある日突然、魔法のように消えてしまったそうです。これには誰もが不思議がってます」
PL「へー、魔術師かー。正気度0っぽくて話し合い無理そう」

 KPは冷や汗をぬぐいながらも、何とか説明が付けれたのでニッコリ。しかしこの突然の設定が、後に悲劇を生むことになります。

 さてダーカス叔父は真の遺産である魔術書が欲しくてたまりません。その魔術書はペンクロフトが持ってると思ってるので、脅迫をして取り上げようとします。ペンクロフトの泊まってるホテルの部屋に嫌がらせをしたり、深夜に怪物を見せたり色々。そして最後にこう言います。

――ペンクロフトよ、明日の正午、サイラスの家まで一人で来い。従わない場合はその命は無いものと思え。

 この脅迫を聞いた探索者達は、こう思いました。よし、全員で行って捕まえよう。

 実際人質とかとってる訳で無いので、複数での押し掛けがバレた所で痛くも痒くもありません。命は無いものと思えとかありますが、探索者は「どーせ殺す気満タンな癖に。狂気の魔術師め」と呆れ顔。実際ダーカス叔父は魔術書が欲しいだけで探索者達を殺す気無いのですが、正気度0の魔術師に信用なんてありません。

 探索者達は警察に協力を頼み、 ダーカス叔父を捕まえに行きます。彼は複数人が襲ってくるのを見て逃げ出そうとしますが、探索者の追跡の技能にあえなく敗北。ダーカス叔父は銃撃され、意識を失います。

「じゃあダーカスは意識を失ったので、警官が手錠をかけます。このまま逮捕ですね。応急手当をして意識も戻しておきましょう」
「......あ」

 探索者はハッとしました。こいつは殺した方がいいんじゃないのか?でも警官の前でそれは出来そうにありません。

「えーと、今回彼が行った罪状なんですが。まず精神病院の脱走、ペンクロフトへの脅迫、後はホテルの器物破損ですね。他にも窃盗などの余罪はあるかもしれませんが、ちょっと死刑にはなりそうないですね。まぁ現役バリバリの精神異常者なんで、どんな刑が下るかは分かりませんが」
「.....」

 黙ってしまった探索者達に、ダーカスは笑顔でこう言います。

「また、会いに来るからな。絶対に、会いに来るからな。お前達が寝てようが、食事してようが、暗い夜道の中さ迷ってようが、何時でも、何処でも、好きなときに会いに行くからな」

 私は魔法使いなんだよ。ダーカスはそう言ってケタケタと笑います。これを聞いた警官はため息をつきますが、探索者達にとって笑い事ではありません。 ダーカス叔父は本物の魔術師で、今言ったことを実際に行えるのですから。



 笑顔のまま手錠をはめられたダーカス叔父を見ながらセッション終了。クトゥルフっぽいエンディングで大変よろしいと思います。 今後ダーカス叔父はNPCとして活躍してくれることでしょう。KPにんまりです。

 まぁ他にも魔術書を取り戻そうとした際にヘマこいて裁判沙汰になったりもしたんですが、法律と信用のごり押しで無罪を勝ち取りました。世界を救う大義のためなら小さな悪は許容されるのです。洋ゲーは特にその傾向が強いと思いますし、僕もそっちの方がTRPGぽくって好きです。

【新クトゥルフ神話TRPG】 紅文字

 このシナリオ最初読んだときに、頭の中が ??? で一杯になりました。
 こんなのありえるのか?これをルールブックのサンプルシナリオに乗せていいのか?正気度減らすのやめちくり~、と思いました。





 
 以下、ネタバレ有り。



 以下、ネタバレ有り。











 何がヤバいかってこのシナリオ……。
 導入は普通です。探索者は依頼人から

依頼人「教授が不審死しちゃった。あと教授が持ってた本が無くなってた。探して」

 って依頼を受けます。クトゥルフなら特段は珍しくありません。しかし、しかしですよ。このシナリオ、続いてこんな事が書いてるんです。

ルルブ『本を盗ったのは教授を殺した犯人だよ。でも犯人は決めてないよ。犯人はKPが決めるのだ』

 ……目を疑いました。登場人物と舞台背景が用意されてますが、肝心の犯人を決めてないんです。

ルルブ『そーする事でこのシナリオは何度だって遊べるんだ。凄いだろ』

 確かにそれは凄い。でもその分KPの負担も大きい。
 犯人決めるのは良いです。しかし犯人を決めた以上 『探索者に犯人を捕まえてもらう』 ストーリーも作らなければなりません。KPがその気になれば完全犯罪なんて簡単に出来ます。でもそれじゃ糞シナリオです。
 探索者には、悩みながらも楽しく推理して、犯人を捕まえて貰わないといけません。そしてそれを考えるのが一番大変なのです。

 ここまで書いたので賢明な方は分かると思います。このシナリオ、一番難しい部分をKPに丸投げしてるのです。フリーダムですね。
 でも泣言言っても仕方ないので、何とかシナリオを作成します。その際気を付けた事は以下の三つ。

①.犯人を特定する証拠は必ず出す。そしてそれは納得がいき、かつ分かりやすいものでなければならない。

②.その証拠を出すタイミングは終盤が望ましい。だが自由度の高いシナリオにおいて、それは結構厄介だ。

③.犯人が強すぎて探索者を簡単に殺したり、また探索者が嫌気がさしたりする事は避けたい。

 この三点を守りつつ、犯人とストーリーを作成します。その結果、このようになりました。

①.犯人はハーランド・ローチ。
   動機:殺人の動機は学園の人なら大抵知ってる。
   証拠:盗んだ本を所持してる。かつ探索者の前で、ポルターガイスト現象に会う。
 
②.終盤に会うであろうセシルの部屋から、本の写しが見つかる。そこに 本を触った人間はポルターガイスト現象に会う との情報が手に入る。これで探索者は、本を知らないと言ってたハーランドの証言に矛盾を見つける事が出来る。探索者がハーランドの元へ行くと、彼はすでにインクの中の怪物に殺されてた。以後強制イベント。

③.ハーランドは糞雑魚なので脅威になりえない。

 こんな感じでシナリオ作成。いざセッション当日。



 感想ですが、かなり良い感じでセッション出来たと思います。行き詰る場面もありませんでしたし、それなりにドキドキさせる事が出来ました。あとTRPGならではというか、探索者が場面を盛り上げてくれてKPがそれに即興で乗っかったりして、ユルユルなシナリオもまぁ良いもんだなと感じました。

 変わり種なシナリオですが、創作に喜びを感じられるKPならお勧めです。誰にも真似できないカオスなシナリオを作成してPLの正気度を減らしましょう。

【新クトゥルフ神話TRPG】 古き木々のただ中で ―後編―

 前編の続き。現代日本クトゥルフの探索者を強引に1920年代のアメリカへ召喚させた所から。

 KPの吟遊やった挙句、探索者を理不尽な目にあわせてセッション開始です。(PLの許可はとりました)
 と言う訳で探索者の作成を始めます。

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名前:梨菜
性別:男
年齢:26
出身:マサチューセッツ州(で戸籍を作った)
職業:放浪者
得意な技能:隠密、鍵開け、説得

名前:トム・クローズ
性別:男
年齢:36
出身:ロサンゼルス
職業:ディレッタント
得意な技能:射撃(ライフル/ショットガン)、威圧、信用

名前:エドワード・ダットリー
性別:男
年齢:31
出身:サンフランシスコ
職業:古物研究科
得意な技能:射撃(拳銃)、回避、目星

名前:ペンクロフト・グリーンバーグ
性別:男
年齢:28
出身:シカゴ
職業:私立探偵
得意な技能:射撃(拳銃)、隠密、追跡

 説得、威圧、隠密、目星。そしてアメリカらしく戦闘技能。
 まさにアメリカン探索者と言った感じですね。医者が居ないのはご愛敬。ヒーラーなんて飾りなんですよ。






 以下、ネタバレ有り。



 以下、ネタバレ有り。











 シナリオやるに至って、NPCのジェーンの性格を改変しました。元ネタに比べてかなり良くなってます。パタパタ娘の設定も『良い意味で活発、健全な精神』という事にしてます。

 何故なら元ネタでは誘拐されるだけのピーチ姫ポジションなのですが、今回の場合では導入として探索者の梨菜との絡みがあったからです。その導入で我儘な性格を見せられたら、あまり助けに行く気にはなりません。やっぱ誘拐されたヒロインなら「絶対に助けたい」という気持ちを持った方が楽しいと思います。

 他にも今回は『探索者の動機の提案』を使用しました。P349のアレです。その動機の中でも特に難しい2番(復讐)は、古物研究科のエドワードにやってもらいます。ベテランPLだからこそのお願いです。

 金のため、復讐のため、お嬢様を救うため
 様々な使命を帯びてセッション開始です。

 何事もなく進んで行きます。しかし2日目の『芸術家の遺体』イベントです。これ『ハリスの足跡を追いかける or 死者の足跡をたどる』でシナリオ分岐してるじゃないですか。それもただの分岐ではありません。何故なら『他のイベントをどうするかキーパーの裁量に任せる』なんてトンデモが書いてますからね。ほんと洋物ぶん投げ具合には恐怖します。

 また3日目の『芸術家たちのキャンプ』も同様です。誘拐犯を追いかけるか、芸術家を殺害した犯人を捜すか。
 普通に考えたら依頼受けてる誘拐犯を追いかけるに決まってますし、実際セッションでもそうなりました。ただそうすると『ターナーの小屋』『芸術家たちの杭』のイベントが見れん訳です、P356の図面を見る限りは。そうなるとかなり情報不足で発掘現場へ行く事になります。

 んで到着しました発掘現場。そこに居るのはアンデットなり立てホヤホヤのカール・ホワイト。こいつが実に厄介です。心は怪物だけど、見かけは普通の人間、かつ知恵もあり策を練ってる。しかも探索者は情報不足。
 あと、こういうNPCはですね、探索者から見れば物凄く対応し難い訳ですよ。怪しいとは言え表面上は普通なので、思い切っての行動がしづらい。手詰まり感半端無いです。

 その手詰まり感が半端無いせいか、探索者達は罠にかけられます。真っ暗にされ視界を閉ざされた後、刃物を持ったグラーキの従者たちに襲われるのです。探索者達は手早く照明と銃を用意するも、ああ悲しいかな、この戦闘で二名の探索者が死亡しました。
 その原因は【刃物によるエクストリーム】、つまり貫通です。このダメージは即死レベルで、それが容赦なく探索者に襲いかかりました。今までヒョイヒョイ避けてた探索者が一撃で死亡。本当ですよ。一撃で死んだんですよ。殺されたPLは「嘘やん」って顔、殺したKPも「嘘やん」って顔。応急手当も医学も関係なく一発で死。

 それでも何とか勝利して、敵の野望を食い止めたました。めでたしめでたし……と行きたい所ですが、二名もの探索者が死亡したので素直には喜べません。そして悲しいかな、その死亡した探索者の中には、導入シーンで活躍したあの梨菜が含まれてました。いや本当に。うん。梨菜が主役だった筈なのに。オープンダイス怖い。怖い。

 そして僕は知ったのです。人間は刃物で急所を刺されたら、簡単に死ぬのだという事を。これはソードワールドとかやってたら気づかない事なのでは無いでしょうか(!?)

 あとセッション中にポカした所を報告します。
 P363のプレイヤー資料【夢引き】をコピーして配布しました。ただ【夢引き】の所をそのままにして配布したので、今回の黒幕がバレてしまったのです。夢引きってアレやん、正体はグラーキか、ってな感じですね。ただPLは理解ある人だったので、口にはしませんでしたが。あの時は助かりました。サンクスです。

 ルルブ付属のサンプルシナリオにしては殺意高いなと思いつつ、今回のセッションは終了です。あとこのシナリオを回そうと考えてるKPの皆さん。出来れば敵に刃物や銃器を持たせないでやって下さい。もしくは幸運ルールを採用してください。それかヒントを多めに出すようアレンジして下さい。そうすると緩いクトゥルフ神話TRPGが楽しめますよ。
 ハードなクトゥルフが好きな人はそのままでどうぞ。


おしまい


その後はダラダラとボドゲ。


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 逃げゾンビで大量のゾンビに襲われる一二三ん。二回連続で最下位でした。

【新クトゥルフ神話TRPG】 古き木々のただ中で ―前編―

 新版クトゥルフ遊んでみた結果ですが……。
 戦闘やチェイス等のアクション面が明確になり、よりダイナミックなシーンが演出しやすくなりました。またそれに伴い、旧版では役に立ちにくかった技能、例えば跳躍とかが日の目を当たる様になりました。
 あとは強すぎた技能、医学や精神分析等が弱体化され、技能間でのバランスがそれなりに取れたと思います。(あくまでそれなり、ですが)

 そんな新版クトゥルフ、初プレイでKPに挑戦します。シナリオはルルブ付属のサンプルシナリオ 【古き木々のただ中で】です。最近はアカシック13等の日本作製のシナリオを遊んできたので、この洋ゲーシナリオの投げっぷりに驚愕しつつ、恐る恐るセッション開始します。

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 前回で探索者だった梨菜は、引き続き使用します。
 ん?サンプルシナリオ『古き木々のただ中で』は、1920年代アメリカが舞台です。現代日本が舞台の梨菜は使用出来ません。でもそれは寂しいので、使用するための茶番……でなく、迫真の導入シナリオを用意しました。

 序章 異世界召喚梨菜 俺また何かやっちゃいました?

 ↓以後、迫真の導入シナリオ。別名、ヴィジュアルシーン、またはKPの吟遊




 あのフェリーの事件から一ヶ月過ぎた。
 梨菜は商売道具である車のカタログを見ながら、深いため息をついた。あの日の惨劇がまるで夢の様だ。
 一緒に行動した他のメンバーとは連絡を取ってない。こちらから連絡しても反応が無いのだ。梨菜には、退屈だが幸せな日常が戻ってきた。

 そんなある日、梨菜のアパートに美しい女性が訪ねて来た。何でも先日隣に引っ越してきたので、その挨拶だと言う。
 彼女の名前は上山(とうま)。キビキビとした良い姿勢をしている。彼女は梨菜に「どこかで、会った事ありますか?」と聞いてきた。梨田はまるで会った覚えは無いが、詐欺師なので適当な事を言い彼女の気を引こうとする。彼女は可愛らしく笑って、自宅へ戻っていった。

 その日の晩、梨菜が風呂に入ってると、風呂場のドアがガラリと開いた。梨菜が驚いてドアの方を見ると、そこにはとうまが居た。

「梨菜さん。お背中、流しましょうか?」 

 とうまは言った。聖母の様な優しい声で。今ここに居る事を、何の疑問も持ってないよう声で。
 一方梨菜は混乱した。突然の事に頭の整理が追い付かない。何で彼女がここに?玄関のカギは掛けたはずだし、そもそも何の用で?まさか本当に背中を流しに来た訳ではあるまい。

 だが梨菜は熟練の詐欺師である。簡単には狼狽しない。梨菜は内心の動揺を見抜かれないよう、いつも通り調子の良い事を言った。あれれ~、それじゃお願いしちゃおっかな~、うっふん。

 それを聞いたとうまは、フフっと笑った。これまた、可愛らしく、乙女の様に。梨菜も釣られて笑う。
 とうまの笑い声が徐々に大きくなった。あははは、と愉快そうに笑う。声はどんどん大きくなり、顔を歪めて笑い続けてる。そしてひとしきり笑った後、唇をニィっと吊り上げながら、親指で自分の顔を指しながら言った。

「おいおい、俺だよ俺。まだ気づかないのか?」

 野太い男の声だった。それがとうまの口から聞こえてくる。
 梨菜には、この声に聞き覚えがあった。そしてその声の正体に気が付いた時、全身から血の気が引いた。それはかつて、探索者仲間だった男の声だった。
 頼りになる人だった。危険な時は何時も体を張って守ってくれた。そんな正義の塊みたいな人だった。

「し、死んだハズじゃ……」
「ざんねーん、死んでませーん。皆に会いたくて死に損なっちゃいましたー」

 かつて仲間だった男はそう言って、懐から鉋(かんな)を取り出した。あれだ、木材の表面を削るアレだ。その鉋の光る刃を見せつけながら、男が飛びかかってきた。凄い力だ、梨田はまるで抵抗できず、組み伏せられた。

「梨菜くーん!お背中お流ししますねー!ついでに頭も洗いましょうねー!全身キレイキレイしましょうねー!」

 鉋を顔に押し付けながら、楽しそうに言った。梨菜は死に物狂いで抵抗するも、ビクともしなかった。

「まずはお前だ!次はあのジジイ!!そして最後はドクサレ芸人だ!」

 続けて男は、人間の声では到底発音できないような、恐ろしい何かの名前を叫んだ。恐怖した梨菜は思う。きっとそれは、男が信じる邪神の名前なのだ。自分はその邪神の名のもとに、惨く殺されるのだ。
 絶体絶命のその時、玄関から複数の足男が聞こえて来た。急いで走ってる。ここへ向かって走って来てる。二人の男が飛び込むようにして風呂場へ入ってきた。

 それはかつての仲間達だった。生死を共にした、強い絆で結ばれた仲間達だった。

「梨菜!助けに来たぞ!」

 男達は叫んだ、そして手に持った分厚い洋書を突き出した。その洋書には、碧い五芒星が書かれたあった
 瞬間、白い光が辺りを包んだ。すると不思議な事に、梨菜を拘束してた力が弱まった。梨菜はこれ幸いに逃げ出そうとする。

「逃がさん!お前らだけは逃がさんぞ!」

 元仲間だった男が叫び、続けて異国の言葉を歌うように紡いだ。梨菜はそれを見てゾッとした。これは、前の怪奇フェリーで見た事がある。何か良くないモノを、こちらの世界に引き寄せる呪文だ。

 梨菜が覚えているのはそこまでだった。白い光と黒い爆発。この世の法則を捻じ曲げる邪な呪文。梨菜の意識は途切れた。

 ……暗い、真っ暗な空間を、梨菜は漂っていた。あれからどれだけ時間がたったのか、どこへ向かってるのか、何もわからない。ただ闇の中を漂っていた。
 そこへ聞き覚えのある声が、途切れ途切れ聞こえてくる。

――やつを、たすけたつもりか?ばかめ……死んだ方が、マシだったものを……
――なしな!きこえるか!……もどるほうほうは、ある。それは……

 声は聞こえなくなった。それからどれだけ時間がたっただろう。しかしその時間を測る術はない。梨菜はただ暗闇を漂った。



 ドシンという音がして、背中に衝撃を受けた。梨菜は痛みから目を開けると、知らない天井が映った。古臭いシックなシャンデリアが光を放ってる。そして香ばしい匂いが鼻孔をくすぐった。
 いきなりの事態に頭が混乱する。何が起きたかのか?梨菜は痛む体をさすりながら、上体を起こした。

 少女だ。目の前に金髪の少女が居た。年頃は10代後半だろうか?青い目をした、整った顔の少女である。古いが上等な生地で作ったドレスを着ている。良い所のお嬢様なのだろうか?上品な服装がとても似合ってた。
 彼女は椅子に座り、右手に持ったフォークを口に運ぼうとしていた。どうやら食事中だったらしい。だが少女は、梨菜を見たまま硬直して動かない。二人は見つめ合った。

 そこで気づいた。梨菜は食事中のテーブルの上に落ちてきたのだ。これでは彼女、ビックリしたに違いない。
 さらに気づいた。梨菜は全裸である。尻の穴丸出しで、テーブルの上に座ってたのだ。これでは彼女、とてもビックリしたに違いない。

「きゃあーーーー!!」

 少女は叫んだ。梨菜も叫んだ。

「だ、だれか!全裸のへ、変質者が、テーブルに座ってます!」

 たちまち複数の人間が梨菜を取り押さえた。上等なスーツを着た髭の白人、執事の恰好をした黒人。白人、黒人。ここは外国か。ああだが、この人達日本語喋ってる。だって、何て言ってるか理解できるのだ。でもこの人達、碌な事を言ってない。

 梨菜は理解が追い付かないまま、すぐに火炙りの刑に処される事になった。裁判などない。男達が勢いで決めてしまった。何でも男達の言う事では、空中からいきなり降ってくるのは魔術以外何者でもなく、その魔術を使用できるのは悪魔と取引した魔女のみである。魔女は火炙りと決まってる。死ね。だとか。

 梨菜は必死で弁明した。全裸で丸太に縛られたまま、必死で弁明した。だが弁明すればするほど、みんなの眼付が険しくなった。梨菜は焦った。とにかく連中ときたら、話が通じないのだ。常識がまるでない。これは日本人外国人以前の問題だ。こいつら本当に現代人か?

 現代人……?
 梨菜は連中の服を見て、疑問に思った。連中は、まるでアメリカの白黒映画から飛び出てきたような恰好をしてる。そして誰一人スマホを持ってない。こんな面白いシーン、録画するに決まってるのに。

 ……梨菜の額から汗が噴き出してきた。もしかしてここは、現代じゃないのか?自分が住んでた時代より、ずっと前の時代ではないだろうか?梨菜は恐怖に身を固めたまま、恐る恐る質問をしてみた。なるべく、疑われないように、慎重に。

 ……驚くべき事実が分かった。ここは1920年代のアメリカだ。場所はヴァーモント州、所謂東海岸だ。梨菜は、タイムスリップをしたのだ。

 余りの事態に、思考が麻痺をしてしまった。二の句が継げられない。だが連中は硬直した梨菜にお構いなく、足元に枝木を積んでる。燃やす気満々だ。
 このままでは焼き殺されてしまう。梨菜は命乞いをしたが、ここに居る連中は聞く耳を持たなかった。絶体絶命化と思われたその時、1人の少女が飛び込んできた。

「待って!悪魔なんて居ないわ!そんな迷信で人を殺しちゃダメ!」

 それは、最初に出会った少女だった。全裸の自分を見た少女だった。
 少女は凛とした声を上げ、梨菜を庇うようにして両手を広げたまま、男達と向き合った。

「ジェーン、どきなさい!女のお前が来て良い場所ではない」

 スーツを着た髭の紳士が少女に怒鳴った。だが少女、ジェーンは臆する事無く言い返した。

「父さん!この人はね、ただお腹を空かせた、可哀そうな人なの。着る物も、食べる物もない可哀想な、でも普通の人間なの」
「こいつはいきなり天井から降ってきた。絶対普通じゃないゾ」
「父さんは考え方が古いの!この人は天井から晩御飯を眺めて、足を滑らせたお茶目な人よ」

 だから殺しちゃダメ!ジェーンは梨菜を庇ったまま、多くの男達相手に一歩も引かずに言い返した。勇敢で、立派で、美しい少女だ。しかし梨菜は見逃さなかった。ジェーンの足は、細かく震えてた。彼女は怖いのを我慢して、梨菜を助けに来たのだ。
 しばらくジェーンと髭の紳士は言い合ってたが、やがて髭の紳士は根負けしたようにジェーンの言い分を認めた。そして呆れるように「このパタパタ娘め」と言った。

「大丈夫?怪我はない?」

 ジェーンは優しい声を出して、梨菜の拘束を解いていった。こうして梨菜は久しぶりに自由を取り戻した。まだ全裸であるが。

「これ、持ってきたの。使用人のお古だけど使って」

 ジェーンが手にしてたのは、農夫の作業着だった。継ぎ接ぎだらけでみすぼらしいが、全裸で無一文の梨菜にとって、それは何よりもありがたいものだった。梨菜は感謝の言葉を述べながら、ジェーンに背中を向けて、いそいそと服を着た。


つづく
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