レポ ミルクティー・プリンセス

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WHRPG 『ミルクティー・プリンセス』 エンディング・後編

 PCは廃墟グレンツデックに居た屑拾い達を、全員無事に港町サルカルデンへ送り届けた。
 ボロを着た大勢の屑拾い達を見て、大層驚くサルカルデンの住人。

 その翌日この港町は、とある噂話で持ちきりだ。

『おい、あのミルクティー・プリンセスが生きていたって!それも何か、ど豪い事をやったらしい!』

 ミルクティー・プリンセスと言えば、グレンツデックの生きる宝石といわれたシュゼットの事だ。
 この港町で、彼女を事を知らない人は居ない。
 なにせ彼女の父親ガレットは、この港町との関わり深い有名な貿易商人だ。
 その父親の一人娘となれば、色々な場所で噂になる。

 住人達はシュゼットが生きていた事に驚いた。
 しかもど豪い事をやったと来れば、噂好きでお喋りの住民が放っておくわけはない。
 シュゼットを一目見ようと、シャリアの教会には大勢の人が詰め掛けていた。

――シュゼット嬢はどこだ?本当に生きてるのか?
――ホンモノなのか?とりあえず早く見せてくれ
――シュゼットちゃーん、会いにきたよ~♪

 教会の外には、大勢の人が集まってる。
 皆シュゼットを一目見ようと必死だ。
 PCと教団員は教会の出口を固め、観衆が騒動を起こさない様に見張っている。

 教会の奥でシュゼットとシスターは、二人で話し合っていた。
 シスターはシュゼットに聞く。

「貴方はシャリア教徒として生きると言いましたが、本当にそれでいいのですか?今なら多くの豪商や貴族が、貴方の事を引き取ろうとするでしょう。
 シャリア教徒になるのは、もう少し様子を見てもいいのではないでしょうか?」

 シスターの話を聞いて、シュゼットはこう言う。

「もう、誓いを立てた事ですから。誓いを破るなど、私には出来ません」

 シュゼットがそう言うと、シスターは微笑んだ。
 そして少し悪戯っぽい顔になって、こう言った。

「シュゼットさん、貴方のご両親がこの教会で、結婚式を挙げた事を覚えてますね。実はお母様がその時に着たドレスが、まだあるのです。
 どうでしょう?外に居る人達を、少しビックリさせて見ませんか?」

 シスターの言葉を聞いて驚くシュゼット。
 しかしすぐに年相応の笑顔を浮かべ、はいと頷いた。


 ドワーフのポチョムキンは、教会の玄関で金貨がたんまりと詰った袋を弄んでた。
 彼は勇敢なドワーフのルーン伝令だ。
 ルーン文字で書かれた伝書を、命を懸けて同胞に届ける。
 しかしここ数世紀で多くのドワーフの確保地が無くなる中、その任務には多大な危険がつきまとう。
 志半ばに、多くの同胞が命を散らせていった。

 いつ死ぬとも分からない人生だ。
 ドワーフの寿命は人間より長いと言っても、明日にはコロリと死んでるかもしれない。

 だからこそ思う。
 今居る二人の仲間と、もっと多くの冒険がしたい。
 沢山の酒を酌み交わしたい。
 今晩はこの袋から溢れんばかりの金貨で、仲間達に一杯奢ってやりたい。


 墓荒らしのシャーロットは、仕事用の鶴嘴を上段に構え、詰め掛ける観衆を威嚇してた。
 そのちょっとだけ狂気の入った顔を見て、観衆の足がピタリと止まる。
 観衆は思う、彼女の体は小さいが、ここは逆らわずに大人しく従ったほうが良さそうだ。

 彼女の仕事は墓荒らし・・・それは犯罪行為そのものだ。
 憲兵に追いかけれれるのも、腐肉食らいのグールと死体を取り合うのも日課である。
 金入りはいいが、これじゃ体が持たない。 

 シュゼットからタンマリ頂いた金貨を見て、思う。
 これからの自分はどう生きるべきか?
 これだけの金貨が有れば、新たしい人生をやり直す事も十分できる。
 大都市へ行って、何か商売を始めてもいい。

 しかし・・・と、頭を振る。
 今の仲間達とは別れ難い。
 ここは新しい鎧でも買って、冒険を続けるのがいいだろう。
 戦闘に関しては、今まで自分はお荷物だったのだ。
 今度からは少し違う所を見せたい。

 とにかく、シャーロットは思う。
 今の自分は何でも出来る。
 もう後ろめたい日陰暮らしの生活など、する必要はないのだ。


 警備兵のケイナスは、シュゼットを伴い教会の階段を上っていた。
 彼女を教会の2階にあるバルコニーまで送って、集まった観衆にお披露目する為だ。
 2階のバルコニーなら群集の目によく見えるし、なにより一階の玄関に比べてシュゼットの身を守りやすい。
 警備兵としては当然、護衛の安全を一番に考える。

 シュゼットと二人歩いて思う。
 まだ国が平和だった頃も、こうやって一緒に歩いていた。
 そうしてあらゆる危険から、彼女を守ってきたつもりだ。
 そしてこれからも、そうありたい。

 階段をあがってドアを開ける。
 ケイナスは部屋の中の安全を確かめると、シュゼットを呼んだ。
 シュゼットはケイナスに呼ばれるまま、部屋に入る。
 あとはこのまま、バルコニーへ行けば良い。


 大勢の観衆が見守る中、シュゼットは現れた。
 その体には母親から譲り受けた、純白のドレスを身にまとって。

 シュゼットは天使のような笑顔を浮かべ、観衆に小さく手を振る。
 地鳴りのような歓声が、教会を包んだ。

 純白のドレスを翻し、割れんばかりの拍手を受けたその時。

 ミルクティー・プリンセスは、再び誕生したのだ。


ウォーハンマーRPGシナリオ 『ミルクティー・プリンセス』 完




※※エピローグ※※

 その次の日にシュゼットはドレスを脱いで、シャリア教徒として生きる事となった。
 すぐ傍にはプリンツも付き添ってる。
 二人は主従の関係を超えて、何時までも一緒に居るだろう。

 多くの貴族や金持ちがシュゼットを引き取りたいと申し出たが、彼女はそれを全て断った。
 中には露骨に求愛する貴族も居た。
 シュゼットに求愛する貴族に向かって

「ごめんなさい。私には既に、心に決めた殿方が居ますから」

 と笑顔で、とんでもない発言をかました。
 それを聞いた貴族がひっくり返ったのは、言うまでも無い。

 PC3人は旅に出る事にした。
 新しい冒険が俺達をまってる。(一二三ん先生の次回作にご期待ください)

 シュゼットは旅立とうとするケイナスの袖を掴んで、こう言った。

「またいつか、必ずアイに来てください」
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WHRPG 『ミルクティー・プリンセス』 エンディング・前編

 警備員ケイナスの心意気が、巨人殺しガントスの心を打った。
 ケイナスは自分に入るはずの何百枚もの金貨を、シュゼットの好きな様に使って良いと言ったのだ。
 巨人殺しのガントスはPCの前から立ち去り、ゆすり屋ヘルムートは一人残された。

 あれこれ考える暇などない、PC達は一斉にゆすり屋に襲い掛かった。
 今ゆすり屋に逃げられると、取り返しのつかない事態を生む。この機会を逃す手はない。
 歴戦のゆすり屋も、3人相手では成す術もなかった。

 PCは宿敵のゆすり屋を倒し、最寄の都市ザルカルデンへ直行する。
 ここでシュゼットの鉄砲をお金に変えて、屑拾いの人達を救うのだ。

 その為にはシャリア教という宗教が必要だ。
 この宗教は博愛をモットーとしており、弱者救済の慈善事業に関しては一級品だ。
 屑拾い達を助けるにもこの宗教を通さないと、色々と面倒な事になるだろう。

GM「という訳でサルカルデンへやって来た。ここら一帯じゃ一番栄えた街だね。」
PL「貿易都市なんですよね?」
GM「うん、ここから世界の国へ船が出てる。昔は栄えてなかったけど、混沌の嵐以降活気ついてるってさ。とりあえずどうしよっか?」
PL「シャリアの教会へ行きます」

 休憩・観光なんてもってのほかとばかり、シャリアの教会へ直行する。
 シグマーとシャリアの教会なら、どの町にもある。
 シグマーは国教として、シャリアは民の治療と出産を一手に引き受けてる存在として。

 迷う事無くシャリアの教会へ着いたPCは、シスターに向かって早速事情を話した。

シスター
「あらあら、それはスゴイですわね」
PC「じゃあ、鉄砲を売ったお金で屑拾い達を保護できるんですね?」
シスター
「了承♪」

 アッサリと頷くシスター。
 寄付金は、PCの願い通りの使い方をされるようだ。

 シスターはシュゼットを見ながら、しんみりとした表情でこう言った。

シスター
「シュゼットは思い切った決断をしましたねぇ。安心なさい、あなたのその決断、無駄にはしませんわ」

 それにしてもねぇ・・・と、シスターは意味ありげに続けた。

シスター
「シュゼットちゃんは大きくなったわねぇ。前見た時はあんな小さかったのに」

 しかも生きていたなんて・・・そう言って瞳を閏わす。

 なんとビックリ、シスターとシュゼットは面識があった。
 シスターの言う事によれば、シュゼットの両親はここの教会で結婚式を挙げたらしい。
 シュゼットを生んだのも、ここの協会だ。

 突き抜けるような青空の日、シュゼットは生まれた。
 生まれたばかりのシュゼットを見た両親は、大層な喜び様だったと言う。

GM「意外な事実が判明した所で、最高級鉄砲を換金するわけだ。それじゃポチョムキンとシャーロットはお金を貰っていいよ」
シャーロット
「私が金貨200枚ね」
ポチョムキン
「さーせん、100枚ですね」

 二人は大金を手に入れてホクホクだ。
 人助けもできて、しかも一財産手に入れるなど、これは冒険者冥利に尽きる。

GM「そんじゃ無事に換金できた所で、次は廃墟グレンツデックに居る屑拾い達を助けに行こうか」

 一行はシスターに連れ添って、廃墟グレンツデックへ向かう。
 護衛としてシャリアの神官戦士を付けたので、道中は安全だ。

 特に何事もなく、無事に廃墟グレンツデックへ到着する。

GM「君達を見て近くに居た傭兵は大変驚いてるね。決闘でゆすり屋を倒した人が、今度はシャリアのお偉いさんと来たんだから」

 この廃墟じゃPCはちょっとした有名人だ。
 仕事仲間であった傭兵も、何事かと集まってくる。

PL「ゆすり屋が死んじゃったんですけど、なんか変化あります?」

GM「突然消えたゆすり屋には色々な憶測が流れてるけど、特には無いね。仕事の効率は落ちてるみたいだ。彼は残忍で優秀な、管理職だったからね」

PL「僕らが疑われてるとかあります?」

GM「いや、ゆすり屋が君達に殺されたとは、傭兵達は思ってないね。決闘に負けたのを恥じて自分から出て行ったか、町の外で怪物に食われたとかしか思ってない」

 突然人が居なくなるのは、この世界では珍しい事じゃない。
 まして賭け試合で勝って幸せ一杯のPCが、ゆすり屋を殺すとは思ってない。
 考える人が脳筋な傭兵達ならなおさらだ。

GM「有一事情を知ってる巨人殺しは、仕事をしながら無言でビールを飲んでる。君達には目もくれないね。さて、どうしようか?」

 どうしようかとGMに促されたが、する事なんて1つしかない。
 PCはシュゼットとシャリアのシスターを守るようにして、屑拾い達の元へ向かった。

 屑拾い達は蟻のように地面を這いながら、瓦礫の山を漁ってる。
 今日も僅かな食事のために、手足が擦り切れるような労働を強いられてる。

 そこに一行はやって来た。
 屑拾い達は突然現れた訪問者に、目を白黒させた。

 誰かと思えばゆすり屋をぶっ飛ばしたPCに、シャリア教のシスターと神官戦士だ。
 ゆすり屋に虐められてた子供まで一緒に居る。
 一体どんな用事があるのか、屑拾いも見張りの傭兵も、仕事の手を止めて一行を見詰める。

 大勢の注目を浴びながら、シュゼットは一歩前に踏み出した。
 そして躊躇することなく、こう言う。

「みなさん!私達には、あなた方の全員を保護する準備があります!」

 シュゼットの言葉を聴いても、屑拾い達はポカンと呆けた表情を浮かべてる。
 だが彼女の言葉の意味を理解するのに、長い時間はかからなかった。

――おお!シャリア様の御慈悲に感謝いたします!

 屑拾い達は肩に掛けたカバンを放り出して、シャリア教徒の足元へ駆け寄る。
 仕事を放り出した屑拾いを見て傭兵は怒鳴るが、誰も聞きやしない。
 他の場所で働いていた屑拾い達も、乗り遅れてはならないとばかりに駆け寄る。

 PC達の周りには100名以上の屑拾い達が集まった。
 これで廃墟グレンツデックで働いてた、全ての屑拾いが集まった事になる。
 あとは彼らを港町ザルカルデンへ連れて行くだけだ。

 呆然としている傭兵達を尻目に、PC一行は街の外へ向かって歩き出す。
 だがその瞬間、ガチャガチャと金属を鳴らす音が辺りに響いた。

 何事かと辺りを見ると、遠くからは鬼の形相をした商人が、私兵を引き連れてやって来た。
 私兵は金属鎧で身を固め、大きな斧槍で武装している。

 その私兵達の先陣を切るのは、代理戦士のハリアスだ。
 彼は全身に武器をまとい、その武器を状況に応じて多様に使いこなす。
 ハリネズミのごとく全身から武器が飛び出す様を見て、屑拾い達が悲鳴を上げた。

 PC達と代理戦士の目が合った。
 しばらく無言で見詰め合ってたが、代理戦士が何を考えているのか、PCには最後まで分からなかった。

 商人は私兵を後ろに並ばせ、怒りに任せてPC達に掴みかかろうとする。
 だが、寸での所で止まった。
 掴みかかろうにも、相手が悪い。

 相手にはシャリアのシスターや神官戦士が居る。
 それもシスターは、相当なお偉いさんだ。
 迂闊に手を出せば、こっちも手痛い目にあう。

 商人はどうする事も出来ず、悔しさに歯をギリギリと鳴らす。

シスター
「御用が無いのなら、行ってもよいかしら?」

 シスターは怒りに震える商人に向かって、やさしい声色で言った。
 それを聞いて、商人の怒りが爆発する。

「いいか!お前らは誰も救っちゃいない!」

 商人は一行に向かい、叫ぶようにして言う。

「お前達はこいつらに仕事を与えられるのか!与えられても、今の仕事と大差はあるまい。屑どもに人並みの仕事を与えてみろ!」

 商人は止まらない。

「仕事を与えられないまま養って、その後はどうするつもりだ!どうせ何も考えちゃいまい」

 屑拾い達が怯える。

「お前らに出来るのは、屑拾い達を金がなくなるまでに飼うだけだ。そしてペットの餌代が無くなれば、どうする気だ!」

 商人は勝ち誇った様に、高らかと叫ぶ。

「俺達は間違っちゃいない!このウォーハンマーの世界に、救いなどないんだ!」

 ・・・辺りがシーンと静まり返った。
 商人の迫力に圧倒されてしまってる。

 警備兵のケイナスは、横目でシュゼットを見た。
 今の商人の言葉で、傷ついてはいないだろうか?
 せっかく一枚の金貨も受け取らなかったのに、シュゼットが傷ついては何にもならない。

 ケイナスの心配をよそに、シュゼットは穏やかな笑みを浮かべていた。
 とても傷ついているようには見えない。

 ケイナスは思った、その顔は何度か見たことがある。
 豊だった頃の彼女がよくしていた、愛らしくて慈愛に溢れる顔だ。

 二人の目が合った。
 シュゼットは顔を赤らめたままケイナスに近寄って、無言のまま手をとる。

 そしてケイナスと両手を取り合ったまま、商人に言った。  

「救いなら、あります」


続く 次回、エンディング・後編




■追記
あー、次回でやっと最後だ、長かったー。
途中レポが一週間以上開いてしまった。
イベントがあったり仕事が忙しかったりして、レポ書く気力が湧いてこなかった。
犬の散歩が終わって軽くネットを眺めた後、即効でお布団にもぐる。
いかんねこんな生活、もっとアグレッシブにならなきゃさ、誰か若さを分けてくれ。

話は変わって、レポにある商人のセリフ。

「俺達は間違っちゃいない!このウォーハンマーの世界に、救いなどないんだ!」

おいおい、ウォーハンマーの世界って何やねん・・・
と思うだろうけど、あえてここはゲームの名前を使ったのです。
そっちの方が印象が強いと思ってね。
ちなみにウォーハンマーの世界の名前は、オールドワールドと言います。
一度は行ってみたいよね。お弁当もって。

WHRPG 『ミルクティー・プリンセス』 レポート 20枚目

 報酬を手に入れて、冒険が終わったと思ってた矢先の出来事だった。
 絶対に会いたくない相手を見て、先程まで緩んでた頬が引き攣る。

「そりゃそうだ・・・。そうに決まってるよな、じゃなきゃおかしいだろうが!!」

 ゆすり屋が吼えた。

「てめー等散々善人面してよぉ・・・。なんだそりゃ、ああ!!」

 別に善人面という訳では・・・とPCは言うが、歯切れはよくない。
 洞窟内での会話を聞かれていれば、当然だろう。

「俺だってそのガキにそんな秘密があると知ってれば、お前らと同じ事をしたぜ?そっちの方が儲かるからよ」

 ゆすり屋の言う事に、PCはスマイルを返すだけで精一杯だ。

「なぁ、俺とテメーら、何が違うんだよ。言ってみろよ」
「いえ、特には・・・」

 気まずい。
 気まずいついでに、こう聞いてみる。
 あの、ゆすり屋さん、お仲間は巨人殺しだけですか?と。

「・・・さぁな?どのみち死んでいくお前等には関係ないがな。一人もここから帰えさねぇぜ」

 話は終わりとばかりに、ゆすり屋は武器を構える。
 彼の手にした棘付きの槌は強烈だ。
 当たれば肉をそぎ骨を砕いて、命を散らす。
 決闘で食らったパンチとは、比べ物にならないだろう。

 PCが最初に思ったことは、間違いではなかった。
 この二人に勝つことは不可能、だと。


 さてついにクライマックスフェイズ。
 ここでは4つの結末が用意されてる。
 財宝(鉄砲)の交渉結果や過程により結末が分かれるのだが、それは以下の通り。

・その1
 財宝の分け前を小額にした。または辞退した。
・その2
 財宝の分け前を大額にした。
・その3
 財宝の分け前を大額にして、彼女達に暴力を振るった。
・その4
 財宝を全部頂く為、彼女達二人を殺した。

 ・・・さてと、この場合だと、どの結末へ行くのが正しいのか?
 と言うか厄介な事に、結末が1と2の中間なのだ。

 警備兵のケイナスの場合だと1で、他の二人の場合だと2。
 まさか仲間内で別々の判断が出るとは。
 作り込みの甘さが露呈し、ウンウンと悩むGM。

 ・・・よし!
 結末は1にしよう!
 そうです、お気づきの通り、これはハッピーエンドです、
 やったー!ハッピーエンドだー!うほほい。

GM「はい、敵はゆすり屋と巨人殺しの二人だ。洞窟の出口を塞がれて、逃げ場はないよ。しかし巨人殺しの様子が変だね」

 ゆすり屋は威嚇するように武器を振るってるが、巨人殺しの方は微動だにしてない。
 戦う前の状態とは思えない位、静観してる。
 静観して何をしているかと言えば、洞窟内に居るシュゼットとプリンツを見ているのだ。

 プリンツはシュゼットを後ろにかばい、出口に立ちふさがる敵をにらみつけている。
 手にしたナイフは震えてるが、一歩も引く気配はないようだ。
 それを見た巨人殺しのガントスは、低い声でこういった。

「ワシが望むのは甘美なる死・・・。女子供を殺すことにあらず」

 構えた武器を下げる。
 そしてケイナスの目を見て、こう言う。

「いい目をしている。この混沌の時代に、そなたらの様な人間が居てうれしく思うぞ」

 と、まるで全て知ってるかのような事を言って、この場から立ち去っていった。
 突然の事態に呆然となるゆすり屋。

PC「攻撃します!」
GM「いい判断だ。ここでゆすり屋に逃げられると、大変な事になっていたよ」
PC「彼一人ですか。他に仲間は居ますか」
GM「いいや、彼一人だね」

 幾らゆすり屋が強いと言っても、多勢に無勢だ。
 PC3人相手ではまるで勝負にならず、一方的にやられてる。
 PCは今までの恨みを返すかのごとく、ゆすり屋に攻撃する。 

PC「仲の良かったファミリーは居ないのですね」
GM「仲の良いファミリーについて聞かれると、ゆすり屋はこう言ったよ」

ゆすり屋「俺は誰も信用してねーよ!ファミリーなんて糞食らえだ!!」

 ゆすり屋がそう絶叫するのと、PCの剣が彼の頭を叩き割るのは、同時だった。
 それはゆすり屋との長い戦いに、終止符が打たれたことを意味していた。
 血を吹き散らし、糸の切れた人形のように倒れるゆすり屋。
 戦いは終わったのだ。


 次回、エンディングへ


追記

今回はハッピーエンドですが、他の三つの結末だとどうなってたか。
それを簡単に説明します。

・その2 財宝の分け前を大額にした。

 ゆすり屋と巨人殺し相手に戦いますが、まず勝てない相手です。
 PCが負けそうになると、プリンツの背に隠れてたシュゼットが、飛び出してきます。
 なんと手には、鉄砲を持ってるではありませんか。

「くるなぁーー!」
 と大声で叫んで、銃口をゆすり屋に突きつけます。
「こんな・・・こんな物があるから!」
 と言って鉄砲を投げ捨てて、ついでに火種のマッチも投げ込みます。
 鉄砲ドカーン。

 呆然となってるゆすり屋。
 逃げるなら今のうちです。
 今ならなんとか、全員逃げれるでしょう。

・その3
 財宝の分け前を大額にして、彼女達に暴力を振るった。

 途中まではその2と同じ。シュゼットは鉄砲を持って飛び出して来ます。
 しかしその目は虚ろです、ただし、口元はニィっと釣り上がってます。
 信頼してて大好きなPCに暴行をされて、どこか壊れちゃったんでしょうか?

 銃口をゆすり屋にピタリと向けた後
「あなたが・・・!あなたがいるから!みんながおがじくなったのぉ!!」
 と言い、鉄砲の引き金を引きます。

 すると バン! と鉄砲が爆発して、シュゼットの手と顔が飛び散ります。
 最高級品といえども、メンテナンスを怠った鉄砲ですからねぇ。
 しかもシュゼットは鉄砲の使い方なんて分かりません。
 お父さんが使ったのを少し見ただけです。
 銃身に火薬をパンパンに詰め込んで、トリガーを引けばそうなります。

 爆発した火が火薬袋に飛び火して、全身を炎につつまれるシュゼットちゃん。
 動物のような奇声を上げながらグルグルと回ります。

 プリンツがシュゼットに抱きついて炎を消そうと飛びつきますが、時すでに遅し。
 プリンツも炎に包まれてしまいます。
 そして二人は抱き合うようにして、死にました。

 鉄砲が無くなって呆然となってるゆすり屋、逃げるなら今のうちです。
 今ならなんとか逃げれるでしょう

・その4
 財宝を全部頂く為、彼女達二人を殺した。

 ゆすり屋と巨人殺しのガチバトル。
 まず勝てないでしょうが、奇跡的に勝てる場合もあります。

 また二人とも倒す必要はなく、一人倒せば洞窟から出られます。
 ただしゆすり屋を殺さないと、あとで報復されます。
 また逃げるにしても足の遅い巨人殺し相手なら、PCも逃げ切る事は可能でしょう。

 逃げ切れると、鉄砲はPC達の物です。
 これで大金持ちだ、やったね!

WHRPG 『ミルクティー・プリンセス』 レポート 19.9枚目

GM「はい、という訳で、そろそろケリをつけようか。結局幾ら請求するの?」

ケイナス
「・・・・・・」

 ケイナスは無言。まだ決心がつかないようだ。

ポチョムキン
「じゃあ金貨100枚で」

 金貨100枚。最初の300枚よりは少なくなった。
 先ほどの演説に少しは共感したのか?

シャーロット
「金貨200枚」

 3人の中で一番多い。
 シュゼットの一番の味方だったのだが、それはそれ、これはこれ。

シャーロット
「お金がたくさんあると、鎧とか色々買える。みんな死ななくなる」

 大金を要求するが、それで彼女を酷い人間だというのは早計だろう。
 彼女なりの言い分と正義は、確かにある。

GM「うん、二人は分かった。問題はケイナスだね。どうするの?」

 GMは決断を促すが、それでもやはりケイナスは無言だ。

GM「殺す?おじちゃん、ころちゅの?わたちをそこのびーちゅとマンみたいに、ころちゅの?」

 GMは少し可愛く言ってるみが、ケイナスはそれでも無言。
 しかし口では何も言わないだけで、彼の顔は苦渋に満ちてる。
 なんと目が少し赤くなってる位だ。

GM「シュゼットはね、何も言わないケイナスに期待してるみたいだ」

 シュゼットは知っていた。
 ケイナスが無言に陥ったのは、仲間の義理とシュゼットの人情に揺れてる事を。
 ケイナスはしばらく考えてから、重たい口を開いた。

ケイナス
「寄付するって、そんな上手く金が行き渡るか。騙されるに決まってる」

シュゼット
「そこはシャリア教の助けを借りようと思ってます。だから安心です」

 寄付をするならシャリア教。これはエンパイアの常識だ。
 この教団は寄付されたお金を、全く手をつけず慈善事業に使うことで有名だ。
 シュゼットが『グレンツデックの人を助けたい』と言ってお金を寄付すれば、必ずその通りにするだろう。

ケイナス
「助ける奴らの中には、お前に酷い事をした奴も居るだろう」

シュゼット
「確かに居ましたが、それはもう気にしていません。貴方方に助けられたその時から、そんな事は忘れました」

ケイナス
「金がなくなった後、お前はどうするんだ。金がないと無理だろ」

 確かにそうだ。
 働こうにも、こんな子供に給金を出す大人は居ない。
 仕事に有りつけたとしても、グレンツデックの屑拾いの仕事と大差ない物ばかりだ。

シュゼット
「ケイナス様、ご心配、ありがとうございます。・・・私は、シャリア教の教徒になろうと思ってます。小さい時から、そう言うのも素敵だなって思ってました」

 そうは言うが、シャリア教の活動は楽でない。
 貧しい人達の炊き出しや雑用のような奉仕活動、誰にも相手にされない病人の世話までをしたりする。
 女だらけの教団にちょっかいかける輩も少なくない。

 そして自分達の生活も質素そのものだ。
 高価な贈り物をされたとしても、それを自分の物にする事は許されない。

ケイナス
「ふん、甘ちゃんだな」

 実はケイナス、さっきから甘ちゃんという台詞を何度も使ってる。
 確かにシュゼットは甘い。砂糖に蜂蜜をかけるより、なお甘い。
 ケイナスはそんな甘ちゃんのシュゼットを、心から心配してるのだ。

シュゼット
「ケイナスさん、私の事なら大丈夫です。皆様に助けて頂いた事を思い出せば、どんな事にも耐えられます」

 ケイナスはしばらく下を向いて黙っていたが、やがて決断した。

ケイナス
「・・・わかった、お前の好きにさせてやる。金は要らない」

 なんとケイナス!お金は要らない宣言だ。
 ずいぶんと悩んでたようだが、悩んでた時間にふさわしい決断を下してくれた。

GM「はい、これで全員出揃いました。じゃあ、これで最終決定ということで」

 ポチョムキンが金貨100枚を請求。
 シャーロットは金貨200枚を請求。
 そしてケイナスは無請求。

 GMと話し合った結果、請求した二人の間を取って、シュゼット達とは金貨150枚で交渉ロールをする事に。
 二人が勝ったら金貨150*2枚貰え、二人が負けたらサイコロの差分だけ減らされる。
 この値が最終決定として、これ以降の金額の交渉は無効とする。
 シュゼット達もその条件を承諾する。

 ただPCがその値が気に入らなければ、暴力沙汰に及んでも良い。
 シュゼット達はロールの決定に従うが、PCは暴れてもよいのだ。
 力を持つ物と持たざる者の、決定的な差がそこにある。

GM「という訳で<値切り>の技能でロールする。おっとシャーロットはこの技能を持ってるね。彼女たちは持ってないから、すごい有利だよ」

 ただそれでも、絶対というわけではない。
 それもオープンダイスなら尚更だ。
 だからGMは続けてこう言った。

――二人を凹るとプラス修正をつけるけど、どうする?

 ぜひPCには欲と人情で揺れて貰いたい。
 しかしPC、そのGMの申し出をあっさりとスルー。
 もうPC達の腹は決まったようだ。

GM「はい、じゃあいくよ~」

 GMとシャーロットはダイスを握り、せぇのでテーブルに転がす。
 ダイスは何回か天板を跳ねた後、その目を晒した。

 結果は・・・シャーロットの大勝利だ!完勝と言ってもよい。
 思わずガッツポーズをとったシャーロットのPL。
 GMもドラマチックなダイス目に思わず唸る。
 
 これで勝負は決まった。
 世馴れしたシャーロットの巧みな弁舌により、彼女等はぐぅの音も出なかったのだ。

 シャーロットとポチョムキンの二人は、合わせて金貨300枚を手に入れた。
 ・・・いや、まだ鉄砲を現金化してないので、手に入れてないが。
 ただそれも時間の問題だろう。
 このまま近場にある港町『ザルカルデン』へ直行だ。

プリンツ
「シャーロットさんの言う事は分かった・・。確かに、今のボクには君達に逆らう事は出来ない。恩も有る。お嬢様に手を出さないのであれば、その金額で手を打つよ」

シャーロット
「おっけーおっけー、ちょーおっけー」

ポチョムキン
「ぐっしっし」

ケイナス
「・・・・・・」

 笑顔の二人と、沈んだ顔のケイナス。
 同じ三人の仲間でも見事に暗雲が分かれた。
 GMはケイナスに『本当に貰わなくていいの?』と聞くが、黙って首を縦に振る。

 大金をせしめた二人は、その金をどう使おうかと話し合っていた。
 これだけの大金ならば、人生をやり直すのに十分な金額だ。
 なんなら冒険者を辞めて、どこかの大都市で商売を始めてもいい。
 もう僅かな銀貨のために、死んだ殺したの仕事なんてする必要はないのだ。

 話し合いが終わった5人は、ビーストマンの洞窟から出る事にした。
 浅い洞窟なので、出口はすぐそこだ。

 鉄砲は鉄の箱に入れて、シュゼットが持っている。
 これはシュゼットの父親の形見である。
 彼女はこの鉄砲を抱いて、何を思ってるのか。
 売り捌くまでなら、シュゼットに持たせておいてもいいだろう。

 洞窟から出ようとした時・・・聞いたことのある声が、5人に聞こえてきた。

「ようお前ら!俺もその話にまぜてくれねーか!」

 この声は・・・忘れるはずない。
 廃墟グレンツデックでは、ずいぶんと聞いた声だ。

 ゆすり屋は居た。
 洞窟の出口のすぐ前に。

 ここなら・・・さっきの会話は、全部聞こえていただろう。
 PCが金を交渉する声も、シュゼット達にネチネチと嫌味を言う声も、全部・・・。

 ゆすり屋は本当に・・・本当に、心から愉快そうな声で・・・笑い声を上げていた。
 こんなに愉快そうに笑ってる所など、見た事ない。
 彼の笑い方というのは、もっと下品だったり粗野だったりしたはずだ。

 しかしPC達はそれ所ではない。
 今・・・PC達は、血の凍るような思いをしていた。

 ゆすり屋の隣には、巨人殺しのガントスが居るのだ。

 ガントスの振るう巨大な斧は、仕事場で何度も見た。
 ソレが一振りすることに、敵が熟れたトマトのように弾ける。
 彼がまとう分厚い鉄の鎧は、敵の攻撃を通さない。
 PCはその大げさな武具がハッタリで無い事を、十分に知ってる。

 PCは思った。
 この二人に勝つことは、不可能だと。


 続く


追記
やっと終わりかな・・・と、ここで皆様に質問を1つ。
みんななら、一体どれ位の金貨を要求したりする?
そりゃ設定したPC設定にもよるけど、自分がよく使うキャラならこれ位かな~とか

ちなみに僕がよく使う粗野なオッサンPCの場合だと・・・うん、シナリオの進め方次第かな?
シュゼットと仲良くなれば1枚も請求せず、ハブられたなら1000枚は請求してる。
うっわ。何か変な声が出たよ。

WHRPG 『ミルクティー・プリンセス』 レポート 19.5枚目

そう言えばあったね、こんな事

■ドワーフのルーン伝令・ポチョムキンの場合
 彼は勇敢なドワーフのルーン伝令である。
 命がけで伝書を渡す仕事には怪我が絶えない。
 仕事で大怪我をしたときに、シャリア教に無料で治療してもらったことがある。
 そのとき治療してくれた相手がシュゼットだった。

■墓荒らし・シャーロットの場合
シャーロット
「それじゃあ、私がこの子をお風呂に入れて医者に見せる」
GM「あいさー、女のシャーロットがシュゼットのお世話ね」
ケイナス&ポチョムキン
「それでシュゼットに聞きたいけど、何がどうなったの?」
GM「まだお風呂中だよ、エッチ。んじゃシャーロットはシュゼットに何か聞く?」
シャーロット
「いや、まだいい。とりあえず落ち着かせたい」
GM「おお、なんとお優しい、シュゼットは君に対して安心感をもつだろうね」

■警備兵・ケイナスの場合
ゆすり屋の手下
「おいおい、何か言ってくれないと分からないぜ。(略)お前さえ抜ければ、後の二人なんてどうにでもならぁ」
ケイナス
「鼻で笑います」

■PC3人の想い
シュゼット
「そんな、嘘です、私は今まで、ずっとあなた方に優しくされました。
 もうこれ以上、ご迷惑はかけれません。
 私、出て行いきますね。今まで本当に、お世話に・・なりました」

PC「君を・・・守る(キリ」

■シュゼットの想い
「はい、あなた方の気持ちよく分かりました。もう、決闘を辞めてとは言いません。だから・・・」

 シュゼットは目に涙をためながら、大声で叫んだ。

「勝って!必ず勝って!そして示してください!あなた方の正義が本物だって!あなた方が本当はとても強いんだってことを!
 だって、あなた方は何も悪い事をしてないのに、酷い目に遭わされていて・・・。私の為に、何もやり返さずに・・・」

■GMの思惑
GM「はい、ゆすり屋とその手下20名、君達のテントを囲んだ。さっきからガキをよこせって言ってるけど、どうする?ポイする?」
PL「ポイするって、それはない」
GM「とは言っても、この子を守る利益なんて無い訳だからね。ポイしないの?」
PL「ないない」
GM「ドゥフフwww」

 煽るGM、さっきからポイしろポイしろとうるさい。
 この嫌~な煽り、これから何度も使っていくのだが、実は終盤に向けての伏線だったりするのだ。


◆◆◆そして、今の様子◆◆◆

 言うことを聞かないシュゼットに、PCは苛立っていた。

 つい昨日までは、捨てられた子犬のように擦り寄っていたくせに。
 この鉄砲だって、誰が見つけたと思ってる。
 俺らがビーストマンと命がけで戦かったからだ。
 お前は後ろで見ていただけのくせに。

 だから財宝は俺達の物だ。
 忘れるな、普通の人ならば躊躇なくお前を殺してる。
 俺等だから、お前にも分身相応な分け前を与えてるんだ。

 お前は、黙って俺の言うことを聞いてればいいんだ。
 逆らったら、どうなるか分かってるのか?

 ・・・てな感じかな?

PL「いや、そこまではない」
GM「ああそう、どうする?殺す?」
PL「殺さんけど、埒が明かないですね」
GM「説得するんなら何か言ってね」

 シュゼットの決意は固い。
 元メイドのプリンツは、シュゼットに殉ずる構えだ。
 説得するのは骨が折れる。

PL「どいうか、多少脅しても駄目なの?」
GM「うん、脅しには屈しないね」
PL「なんでかな~」

 なんで脅しには屈しないのか。
 それは・・・相手が君達だからだ

 相手がゆすり屋だったら、即財宝を見捨てて逃げ出してるだろう。
 君達だからこそ、彼女達も諦めきれないのだ。

 忘れた訳ではあるまい。
 君達が命を賭けて、シュゼットを救ったことを。
 彼女達はそれを覚えてる。
 あの優しかった、君達の事を。

 だがPCも譲れない。
 それは、僅かな金のために命を張ってきた冒険者なら、当然かもしれない。
 1枚の銀貨の為に命を落とすやつなど、この世界にはゴマンといる。

 PCの中には金貨300枚でなく、250枚で手を打つ者もいた。
 しかしその値段でも、彼女達は首を縦に振らない。
 250枚でも多すぎる、金貨が足りないと、屑拾いの人達を全員救えない。

 長い論争を続けて、プリンツの顔に焦りが出てきた。
 彼女は詰め寄るPCを威嚇するように、ついに懐からナイフを取り出す。

GM「彼女は君たちが近寄ると、顔を真っ青にしながら、汗ばんだ手でナイフを取り出したよ。いざとなったらシュゼットだけでも逃がそうと考えてるのかもしれない」
PL「うーん、殺すつもりはないけどなぁ。でも話が進まない」
GM「プリンツは可愛いね。はは、こんな小さなナイフで君達と戦おうとしている。君達なら一瞬で、二人とも殺せるよ」

 SATSUGAIせよ!SATSUGAIせよ!
 煽るGM。

 SATSUGAIせよ!SATSUGAIせよ!
 殺しても大丈夫、絶対安心。

 SATSUGAIせよ!SATSUGAIせよ!
 だが軽くスルーするPL。

 さすがに殺す気はないのだろうが、頑固な彼女達に頭を悩ませてるようだ。
 話し合いが硬直したら、いよいよ大詰めへ。
 GMはシナリオ用紙を取り出し、シュゼットにセリフを喋らせる。


「みなさま、今から私の思いを正直に話します。どうか聞いてください」

 険悪な空気にも物怖じせず、シュゼットは凛とした声で話し出した。  

「私は戦争でこの街を離れてから、何度も神様に祈りました。助けてください、助けてください、助けてください、と・・・」
「でもあなた達に出会うまで、ずっと助けは来ませんでした。その時の苦しい気持ちを、今から話したいと思います」

「あの時のことは今でも忘れません。私達の乗ってる馬車が、盗賊に襲われた時の事です」
「馬車を捨てて、私は生き残った使用人達と一緒に近くの町へ逃げ込みました。荷物は全部馬車にあったので、着る物意外は何もありません」
「すぐに手元のお金は無くなりました、身に着けてる物は全て売ってお金に変えました。でも・・・」
「そのお金を持ったまま、使用人の方は居なくなりました。全員が居なくなるまで、時間はかかりませんでした」

「私は孤独と恐怖に怯えて、うまく現実を見る事が出来なくなってました。
 家に帰れば、なにかある・・・。もしかしたらお父様もお母様も生きてるかもしれない。
 なんて、そんな都合の良い空想をして、ギリギリ生きてきました。
 少し考えれば、そんな事ないってわかるのに」

「そして・・・ここへ来て、崩れたお屋敷を見たとき、私の何かが壊れました。皆様に助けて頂かなかったら、とても生きてなかったでしょう」

「あの時の気持ちを、今でも覚えてます」
「常に助けと求めてました。何度も何度も、貪欲に。なりふりかまわず」
「私はこんなに辛くて、誰かの助けを必要としてるのに、誰も助けてくれないのは何故!と」

「ですから私、ずっと思ってたんです。もし私が幸せになったのなら、私と同じ境遇の人を救いたいって。あの日思った事は嘘にしたくないって」
「ですから・・・もし、皆様方が許してくれるのなら、この鉄砲をお金に変えてあそこに居る人を救いたいのです。
 これが、私の正直な思いです。どうか皆様、この願いを、叶えさせて下さい」

 ・・・・・・・
 シュゼットの長い話に、しんみりと押し黙るPC。
 さすがに気まずくなったんで、GMはこう突っ込みをいれる。

 シュゼットちゃんは、今の自分の状況をわかってないんじゃないか?と。
 生意気に説教たれる世間知らずのガキを、黙らせろ!
 力ずくで!!

 あーーー!すっげ楽し!!


 続く。


追記

明日がコンコンなのに、ついにプレイレポートを書き上げれなかった。
俺は一ヶ月、何をしてたんだが。
でも、あと少しで終わりね。
目指せハッピーエンド。
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