アリアンロッド

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2012-01-15 アリアンロッド2E 『学者・連戦・重塚』

 約2ヵ月ぶりのアリアンです。GMやってるTさんが、やっと土日に休みを取れるようなったのです。いやー目出度い。
 これで僕もアリアンのセッションは3回目。少しずつゲームの空気を、掴んでまりました。

 そんでですね、このゲームで一番楽しい所なのですが・・・。それは戦闘シーンでも、ロールプレイしてる時でもありません。一番楽しいのは、ルールブックを見ながらPCの成長を夢想してる時です。
 実はこのゲーム、戦闘シーンは以外に淡白です。どのPCも攻撃手段・防御手段が少なく、戦闘での役割(使用するスキル)が固定されてます。
 実際僕のPCはメイジなのですが、攻撃手段がランドフィッシャーのみで、応用力がまるでありません。一応他の攻撃スキルを取ることは出来ますが、アリアンでの攻撃スキルの摘み食いはNGなのです。

 このゲーム、勝負は戦闘前についてます。
 一度戦闘に入れば、応用力の少ないPCは出来ることが多くありません。だから戦闘中に機転を利かすよりは、戦闘前に勝利の方程式を組み上げる事が大切なのです。

 戦う前から勝負は決まってる。
 うーん・・・いい言葉ですね。

 そうなると最初は辟易してた数多くのスキルが、とたんに魅力あるものになってきます。
 今度レベル上がったら、あのスキルとって強化したい、あの装備が欲しいなと、妄想は無限大です。
 そして妄想が無限大に出来るゲームとは、きっと良いゲームなのです。たぶん。

*** *** *** *** *** 

 そんな良いゲームで、僕らは遊び始めました。 
 今回のシナリオは連戦シナリオ。身の毛もよだつ恐ろしい化け物と、ひたすら戦い合うのです。

*** *** *** *** *** 

 最初のエネミーは『ハングトレイン』という木の化け物。こいつは人間をひたすら食べると言う、なんとも迷惑な化け物。それにモブエネミーが4体付き添ってるのだが、これが結構厄介なのだ。

 ハングトレインは木の化け物らしく、森の中に姿を隠してる。擬態は完璧で、ちょっとやそっとじゃ見つけられない。PCは九つに分かれたエリアを探索し、体を木の枝で打たれながらハングトレインを捜す。

 戦闘は激しかった。敵は長い枝でPCを捕獲するのだ。柔らかい後衛が前線に引きずり出されると言うのは、何ともいやらしい。ほんとアコライトさんのプロテクションには感謝です。

*** *** *** *** *** 

 次のエネミーは『ネコダマ』というアンデット。ネコダマとは多数の猫の死体が合わさって、巨大な玉を形作ってるというイヤーな敵。ウォーハンマーなら恐慌チェックが必要な位、グロい。

 こいつは雪山の頂上でゴロゴロと転がり、自身が巨大な雪だまになろうとしてた。そうして巨大な雪だまになったら、そのまま町にぶつかるのだ。
 でもその光景は、ちょっとだけ可愛いかもしれない。

 今回の戦闘は、ネコダマを移動させないことが大切だった。ネコダマが一定のラインまで移動したら、PCの敗北だ。勢いのついたネコダマは、そのまま町に直撃をする。

 戦闘ではギルトサポートの『陣形』が役立った。戦闘が始まるなり、即効でネコダマに接近できたのだ。そしてそのまま撃破出来た。いくら強くとも、所詮無勢である。

*** *** *** *** *** 

 最後のエネミーは『傀儡使い』というアンデットだ。奴の能力はモブを操ることで、多数の村人を駆使出来る。感情を見せずノロノロと歩く村人は、ゾンビそのものであった。

 PCは探索の結果、傀儡使いを発見。すぐに戦闘を挑む。敵は傀儡使い以外にも、フライングヘッドという毒の牙を持つエネミーが2体居た。

 敵は強かった。強かったが、ここでPCは溜めに溜めたフェイトをぶち込んで、見事完勝する。 このゲームの基本「ヤラレル前にヤレ」を地で行った戦いであった。

*** *** *** *** *** 

 3体目のエネミーを倒した所で、シナリオは終了。僕らはお疲れ様の挨拶をして、その姿勢のまましばらくぐだる。
 ちなみにエネミーはあと1体残ってる。残りの敵は、次回のシナリオに持ち越しだ。

 と言う訳で、今回のセッションは無事終了。
 一緒に遊んでくれた皆様、ありがとうございました。
 おかげで、とても楽しい時間が過ごせました。

 また次回、会いましょうね。


おしまい
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2011-11-03 アリアンロッド2E 第2話 プレイレポ

 文化の日とは、自由と平和を愛し、文化をすすめる事を趣旨としている祝日だ。

「自由と平和ってのはピンとこないけど、文化をすすめる事は出来るんだぜ」

 僕はふんぞり返って、そう言った。文化の日には、皆でTRPGやれば良いのだ。

「なーに、文化の日だからといって、意味も良く分からない難しい単語並べて議論しちゃう、そんな青白いインテリの真似する事は無いさ」

 インテリのイの字も無い僕は、偏見を交えて偉そうに言い切った。
 無闇に人の真似をしても、ろくな事にはなるまい。たぶん。

 という訳で、文化の日はゲームで決まり。
 僕等はホビーショップ『リングテイル』の2階を借りて、アリアンロッド2Eのセッションを開始した。

*** *** *** *** ***

 約一ヶ月ぶりの、セッションである。年末になるにつれ、時間が取れなくなってる。
 忙しいのは良い事だが、ゲームするぐらいの時間と心の余裕は欲しい。

「じゃあセッション始めますね」

 GMのTさんが切り出した。僕等は拍手で答える。

「先ずはオープニングフェイズから。今君たちは竜の骸骨亭という酒場にて、各自好きなように時間を過ごしてる所です」

 アリアンの世界では冒険者の斡旋を酒場(冒険者の宿)でなく、神殿で行なってるらしい。(マジすか)
 だから冒険者が寝泊まりする場所は宿でなく、神殿の場合も多いのだとか。
 そうなると自然に依頼の斡旋も、神殿が執り行うことになる。

 だからと言って、酒場の役割が無くなる訳ではない。
 冒険者にとって酒場とは、情報を集めたり命の洗濯をしたりする、とても大切な場所だ。
 ここで冒険者たちは、お堅い神殿では出来ないことを思いっきり楽んだ。

*** *** *** *** ***

 冒険者達は前回の依頼を成功させて、懐に多少の余裕が出来ていた。
 彼らは酒場で飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎをし、次の仕事まで間を繋いでた。
 彼等は各自好きな飲み物を手に取ながら、大声でホラ話を吹かせてる。

「おれぁ~その時な、素手でドラゴンをぶっ飛ばしたんよ、ダッシュでグーパンすりゃ余裕よ、よゆー」

 メイジが顔を真っ赤にしながら、その時の様子を身振り手振りで再現した。細腕のメイジも、おしゃべりの時だけは勇敢な戦士になる。
 メイジのホラ話に、ファイターが反応した。ジョッキを持ち上げながら、メイジに負けじと大声を出す。

「素手でドラゴン!?大したことねーな!俺なんかよ裁縫様の糸で、サイクロプスを締め殺したんだぜ!」

 おお、と仲間達が声を上げた。ホラを吹くにしても、ここまでデカイと清々しい。

 とまぁ冒険者達はこんな感じで、休暇を楽しんでた。
 派手に稼いで派手に楽しむ、人生太く短くが彼らの生き様だ。将来設計などまるで考えてない。

 そんな時である。
 酒場のマスターが、冒険者達に声をかけた。

*** *** *** *** ***

「お前ら駆け出しだってのに、だらけきってんな。一つ依頼でも受けて、シャキっとしろや」

 マスターの提案に、冒険者は「まかせろ」と答えた。
 今の彼らは恐れ知らずの勇者なのだ、どんな依頼でも軽くこなせるつもりでいる。

「受けるんだな、ならよーく聞けよ。ここから徒歩で5日ほど行った山の上に、温泉の出る村がある。でだ、最近この村で幽霊が出るので、その幽霊を退治して欲しいそうだ」

 冒険者は鼻で笑った。ドラゴンやサイクロプスに比べれば、幽霊など物の数ではない。
 冒険者は、依頼を受けることにした。

「おいおい、大丈夫か?お前らがミスすれば、俺の酒場の評判も落ちるんだぞ」

 マスターは神殿という、強力な商売敵を思い浮かべてた。

「それじゃあ、詳しいことを話すぞ。その村はミヤタって言う名前なんだが・・・。ておい、いい加減酒飲むのやめろよ」

 マスターが冒険者からジョッキを取り上げようとした、その時である。
 酒場の扉が、ドンと乱暴に開かれた。
 冒険者とマスターは大きな音にビクリとして、何事かと入口を見る。
 するとそこには、顔を真っ青にした商人風の男が、驚きふためいて大声を上げていた。

*** *** *** *** ***

 大変だ!大変だ!
 男は言った。
 しかし冒険者達は何が大変なのか、サッパリ分からない。
 そこでお人好しのシーフが、マスターそっちのけで男に事情を聞くことにした。

 すると男は、こう言った。
 彼は商売を終えて、これから故郷の村に帰るのだが、季節外れの雪が出ていて帰れない、誰かの助けが欲しい。男は懇願する。

 それに対して、冒険者は言った。
 すでに別件を受けてるから無理だ。これからミヤタ村に行かなきゃならん。

 すると男はビックリして、こう言った。
 なんと!ミヤタ村ってのは、私が行くサック村の隣です!徒歩で半日程度の距離ですが、なんて偶然でしょう!

 冒険者と男は、目を合わせた。
 これならマスターの仕事を受けたまま、男を村へ送り届けることが出来る。
 つまり二つの依頼を同時にこなせる訳だ。報酬のことを考えると、是非ともそうしたい。

 しかしそこで酒場のマスターから、待ったがかかった。

「おい、それは止めとけ。ミヤタ村の村長は、サック村の事を嫌ってんだ。ミヤタ村の依頼を受けるつもりなら、その男の依頼は諦めろ」

 聞く所によると、ミヤタ村とサック村は共に温泉が名物の保養地で、二つの村はライバル関係(商売敵)にあるそうだ。
 特にミヤタ村の村長はサック村を敵視しており、何があっても・箸が転がっても、サック村が嫌いだとか。
 しかし男の依頼を受けたい冒険者は、食い下がった。

「マスター、考えすぎじゃね?村人一人を護送するだけだぜ」
「俺もそうは思うが、万一って事がある。オススメはしない」

 マスターの強い言葉に、冒険者達は顔を見合わせた。
 冒険者たちの格言に
『酒場のマスターは天(GM)の声』
 という有名な格言がある。
 ここは素直に従っといた方がよさそうだ。

 冒険者は男の方を見て、申し訳無さそうに言った。

「悪いな。あんたの依頼は受けれん。まぁ俺たち以外にも冒険者は沢山居るんだ。気を落とすなよ」

 これで話は終わりだとばかりに、冒険者は馬鹿騒ぎの続きを再開した。

*** *** *** *** ***

 翌日、冒険者達はミヤタ村へと出発した。
 道中のワンダリング・モンスターを退治して、無事にミヤタ村へと到着する。

 冒険者は村に着くなり、依頼主である村長宅へ挨拶に出向いた。そして挨拶と同時に、依頼についての情報を集める。
 村長や村人から情報を集めた結果、以下の事が分かった。

・森で女の幽霊を見た。まだ怪我人は出てないが、このままじゃ観光業に影響が出る。
・森で仕事をする狩人の一人は、女の幽霊でなく骸骨を見たと言ってる。(ビビる冒険者、酔いからは覚めたらしい)
・村人は女の幽霊の正体に、心当たりがあるらしい。聞くとそれは、隣のサック村に住んでいた未亡人の女だ。
 名はメリナと言う。
・メリナと言う女は去年に神隠しに合い、姿を消した。それと同時に、サック村の温泉が止まった。
・サック村の温泉が止まって以来、ミヤタ村は温泉の商売を独占しており、繁盛している。

 冒険者はここまで調べたら、サック村でも情報を集めることにした。村人の言う幽霊の正体、メリナが気になったのだ。
 冒険者は、雪深い山道を無言のまま歩く。
 そしてまだ見ぬ幽霊を思い浮かべ、身を震わす。
 寒くもないのに、額に汗を浮かべながら・・・。

*** *** *** *** ***

「綺麗な人が死んだら、幽霊になる。そうじゃない人が死んだら、オバケになる」

 博識なアコライトが、薀蓄を垂れた。ナルホドと頷く冒険者一同。

「じゃあこの中で幽霊になれるのは僕だけか。そうだろ?はは、この生身オバケどもが」

 少年メイジが調子こき始めた。小さい体に似合わずに、デカイ声を上げて笑う。
 すかさず二人のファイターがメイジを摘み上げ、若い彼に『礼儀』をみっちり叩き込む。メイジの悲鳴が雪山に響く。
 仮に・・・仮に今、メイジが死んだとしたなら、きっと立派なオバケになるだろう。

――サーセン…サーセン…

 虫の息で呟くメイジをアコライトに放り投げて、冒険者達はサック村に到着した。
 そしてそのまま村長宅へ向かう。

 今は昼食時らしく、村長の家から焼けたパンと甘いシチューの香りが漂ってきた。
 冒険者はすかさず村長宅をノックし、ドアが開くなり素早く中へ潜り込む。
 これにはドアを開けた村長もビックリ。

「み、皆様方、冒険者とお見受けするが、一体何用で?」

 武装した流れ者が、急にやって来たのだ。
 村長の顔に焦りが浮かぶ。

「私達は怪しいものではない。ミヤタ村の依頼を受け、この近辺に出る幽霊の調査をしてるのだ。是非ともあなたにお話を聞きたい。
 それはともかくクンカクンカ、何やら香ばしい匂いがしますね。もしかして食事中でしたか?」
「え、ええ・・・。よろしければ、皆様方も、いかがで」「それでは遠慮無く頂きます。お話は、食べながら伺う事にしましょう」

 冒険者達は腹を鳴らせながら、素早い動作で食卓に着く。ついでに「大盛りでお願いします」の一言も忘れない。
 冒険者達は食器を打ち鳴らしながら、昼食の到着を待つ。
 ここで初めて気づいたのだが、食卓には村長以外に、10歳ぐらいの少年がいた。

「やぁ少年、君は村長さんのお孫さんかな?」

 少年は、無言のまま首を横に振った。

「まぁまぁ皆様、すぐにお食事を持って来ますので」

 村長が冒険者を嗜める。そしてすぐに食事が運ばれてきて、冒険者はがっつき始めた。

「では村長さん。話を聞かせて戴きます。かつてこの村に、メリナと言う名の女が居たと聞いた。それは、間違いないですか?」
「はい、メリナと言う女は確かに居ました。それはとても、気立ての良い子でした」 

 村長は頷く。

「この近辺を騒がしてる幽霊なんだが、どうもその正体がメリナだと言う噂がある。何か心当たりは無いだろうか?」

 真っ直ぐな冒険者の問いに、村長の顔が硬直した。何か言おうとしてるが、言葉が詰まってる。
 冒険者は、一気に畳み掛けることにした。

「何せ幽霊の容姿が、メリナそっくりだと言うのだ。それに彼女が神隠しにあってから、この村の温泉が止まったと聞いた。
 ミヤタ村の人々は、メリナという存在に恐怖と不信感を持って、こう言ってる。温泉を止めた疫病神が、幽霊になっても不幸をまき散らしてる、と」
「いい加減なことを言うな!母さんがそんな事をするはずがない!」

 突然隣から聞こえた大声に、冒険者は椅子から飛び上がった。
 何事かと隣を見れば、同じ食卓についてる少年が目に涙を浮かべて叫んでた。

 ・・・冒険者たちは、事の自体を把握した。

「あー・・・。メリナってのは、君の母親だったのか。すまん、知らなかったよ」

 ファイターが申し訳なさそうな表情を作って、少年にあやまる。
 少年の涙は、止まらない。しゃっくりを繰り返しながら、母親の無罪を訴える。

「・・・母さんは、そんな人じゃない。母さんが、そんな悪い事を、する訳が無い」
「でもなぶっちゃけ一番怪しいよね。やっぱ犯人だと思うよ」
「ブァ!」

 空気を読まないメイジの一言に、他の冒険者達は口の中のブツをテーブルに撒き散らした。
 
「だって今の所、他に怪しい人いないやん。やーっぱ犯人だと思うよ。この事件、僕が思うにだね・・」
「お前来いよゴルァ!」

 二人のファイターが奇声を上げて、メイジを窓から放り投げる。メイジは雪の上にドサリと転がる。
 続けざま二人は外に飛び出し、メイジにみっちりと『礼儀』を叩き込んだ。

――サーセン…サーセン…

 ドアの外から、メイジのか細い声が聞こえた。
 その声を聞いて、他の冒険者は思う。
 きっと幽霊の声と言うのは、あんな声なのだろう。

*** *** *** *** ***

 少年の母親は、薬草取りだったらしい。彼女が神隠しにあった日も、いつも通りの場所で薬草を採っていた。
 冒険者は、その場所を聞いた。するとびっくり。その場所とは、村人が骸骨を見たと言う場所と一致しているのだ。

 これは、調べずには居られない。
 冒険者は聞き込み調査は終わりとばかりに、一晩の休息をとって村を出た。

 村を出てからしばらくすると、少年と出会った。
 何でお前がここに居るん!?と驚く冒険者。
 聞けば、母親の事が気になって、家を飛び出したらしい。

 一緒に付いて行くんだ!と言う少年を見て、冒険者は困り果てた。
 これから幽霊や骸骨と戦うのに、どうして子供など、連れていけるものか・・・。

*** *** *** *** ***

「あー、僕思うんすけどね」

 とあるプレイヤーが言った。
 ここはリングテイルの2階で、今はいい年したオッサン共がTRPGをしている最中だ。

 テーブルの上には、Nさんの持ってきたミスドのドーナツが並んでる。
 Nさんはいっつも美味しいオヤツを持ってきてくれるので、本当に感謝してる。
 ちなみに僕が皆より一個ドーナツを多く食べたのは、ここだけの秘密だ。こんな長文だ、他のPLもここまで読んだりはしないだろう。

「多分この子、イベントキャラやと思うんすよ。この子連れてったら、何か良い事あるでしょ」

 凄まじい、メタ発言である。

「ふつーは、この子を村に返すと思うんですよ。だって戦闘なるかもしれんのに、子供連れはマズイでしょ」

 ウンウンと、他のプレイヤーは頷く。

「でも連れていった方がイイと思うんです。たぶん連れてったら、この子の母親が正気に戻るとか、そんなイベント起こりますよ」

 露骨な、シナリオの先読みだ。

「じゃけん、連れていきましょうねー♪」

 哀れ、こうして少年は冒険者と行動を共にすることになった。

*** *** *** *** ***

「健気よのう。母を思う少年の気持ち、確かに受け取ったぞ」

 冒険者は感動に身を震わせた。不思議なことに「危ないから帰れ!」なんて発想は、まるで浮んでこなかった。

 少年をパーティーに加えたまま、冒険者は薬草の取れる丘へ到着した。
 近辺を調べると、いかにも・・・と言う空気を出してる、ダンジョンを発見。
 冒険者は陣形を組み、慎重な足取りでダンジョンへ侵入する。

 ダンジョンは狭かった。二つ三つの部屋を過ぎただけで、最深部へと到着した。
 ・・・そこには恐ろしいモンスターたちと、美しい女の幽霊がいた。
 冒険者は油断なく武器を構え、ジリジリと間合いを詰める。

「母さん!僕だよ、バンだよ!」

 殺る気満々の冒険者を尻目に、少年は叫んだ。
 すると、どうだろう。幽霊は頭を抱え苦しみ、その場へ蹲ってしまったのだ!
 そして少年を見て、ポツリと呟く。

「・・・バン?」
「母さん!」

 少年と母は、同時に駆けた。
 殺気立つ冒険者とモンスターに囲まれながら、二人はしっかりと抱き合う。

 いや、母親は肉体を持たない幽霊だ。
 少年と抱き合う事は、出来ないハズだ。
 しかし冒険者には、二人がしっかりと抱き合ってるように見えた。

*** *** *** *** ***

「じゃー次は俺らの番だな!!来いやクソやろうども!」

 冒険者は勇ましい雄叫びを上げ、モンスターに向かい頭から突っ込んだ。シーフの拳銃が火を噴き、メイジの魔法が大地をえぐる。
 敵は恐ろしい魔法を使う骸骨や、身の丈4Mを超える氷の巨人が居た。
 どれも油断する事の出来ない敵で、冒険者は持てる力の全てを出す。

 激戦だった。
 ギルトサポートの力を借りて、冒険者は何とか敵を倒した。みな、相当に傷ついてる。

 しかし今の冒険者は、そんな痛みが吹き飛ぶほどの達成感を感じてた。
 何と氷漬けにされた母親の体に魂が戻り、再び血の通った人間として甦ったのだ。

 二人が抱き合う姿を見て、冒険者は思う。
 少年も母親も、今夜からは一人寂しい夜を迎えることは無いだろう。
 寒い夜は、終わったのだ。


おしまい


【追記】
てな訳で、2回目のセッションも無事に終わりました。
アリアンやってて思うんですが、PCを成長させるのが楽しいですね。
レベルが上がれば上がるほど、目に見えて強くなります。インフラバッチコイです。

そんな成長が楽しいアリアン。キャンペーン出来るのは、幸せですね。
一回限りのセッションじゃ勿体ない。これからも、どんどん遊ぼうと思います。

201-10-16 アリアンロッド2E 初めての冒険

(※)キャンペーンの第一段目ということで、えらく長い日記になってます。ご容赦を。

 初めての冒険・・・なんかいい響き。
 冒険に限らず、今回のセッションは初めて尽くしの事が多かったです。
 アリアンのセッションは初めてだし、GMがTさんなのも初めてだし、人様からルルブを貰ったのも初めて。

 ルルブ貰ったとは何かというとですね。実はNさんからアリアンのルルブ、頂いちゃいました。1ヶ月ほど前から基本ルルブ2冊を借りてたんですが、この際プレゼントしたるとの事。

「いや、それは悪いですわ」

 僕は遠慮した。そもそも頂く理由がないし、何より根がチキンなので、1000円を超える贈り物にはビビってしまうのだ。
 とはいえNさんからルルブを借りてから、既に一ヶ月近く経っている。そんな借りっ放しにしておいて、今更塩らしいこと言っても無意味だと思う。
 相手からすればこれだけ長く借してるなら、もうあげたのと同じ感覚なのかもしれない。

「えっと、それじゃ有難く頂きます。いやもうほんとNさん様様ですわ。ふひひ、今度風俗行きましょ」

 僕は調子のイイ事言って、Nさんから基本ルルブ2冊を頂戴した。ありがてぇありがてぇと、心の中で手を合わせる。

 さてNさんからルルブを頂戴したら、セッションの開始だ。
 今回GMを務めることになったTさんに期待大。Tさんは、何と5年振りのGM参加らしい。いいね、出戻り最高です。

 多少の雑談を交えながら、セッションが始まった。
 冒険の舞台はグランフィルデンで、各PCのオープニングフェイズから入る。

*** *** *** *** *** 

冒険者1 ウェルダフ ウォーリア/ウォーリア

 戦士ウェルダフさんは、どんな人かと言えば・・・

① 商人の家の子で
② 記憶喪失で
③ 何かに追われてる人

 うん、何だかよく分からない。しかしサイコロ振ったら結果がそうなのだから、仕方ない。
 という訳で記憶喪失らしく、行き倒れてるシーンからスタート。あまりな扱いに苦笑いするPLだが、ここは難なく対応する。
 行き倒れてると言っても、そこに記憶喪失が混じってるので、それはもうエラいことだ。現在地が分からないだけでなく、食べ物すら持ってない。

 助けを求め辺りを見渡すが、そこにあるのは木と草だけで、民家のたぐいは一切ない。脳筋戦士には酷なシチュエーションだろう。

 詰み。
 戦士ウェルダフは飢えて死亡。
 キャラクターシートは没収。

 ・・・と言う事にはならず、通りかかった親切な人に助けてもらった。
 助けた人の話では、近くに自分が住んでる家があるので、ぜひ寄ってほしいとの事だ。
 絶体絶命かと思ったけど、近くに人の住んでる家があったのだ。これで一安心である。
 戦士は商人の子らしくヘコヘコと頭を下げながら、その親切な人の後について行った。

*** *** *** *** ***

冒険者2 アトリ アコライト/セージ

 今日も神殿で、お勤めに励む僧侶のアトリ。
 アトリ・・・その名前から想像するように、容姿は咲いた花のように美しい少女・・・。
 という訳でなく、髭の生えたオッサンである。

 いや、PLからPCの容姿などは聞いてないので、ヒゲが生えてるとか分からない。男なのは、間違いないのだが。
 だがまぁそこは、アトリの中の人(PL)の人から、何となく想像したと言う事で。はい。

 と言う訳で髭をモッサモサ揺らしながら、アトリは掃除の修行に励んだ。まぁ掃除するとは言っても、もっぱら自分の髭から抜けた毛を、箒でかき回してるだけだが。

 それからしばらくして・・・。神殿の偉い人から、お話がかかった。
 何でも知り合いの錬金術師が困ってるらしいので、ぜひ手助けして欲しいとの事だ。

 アトリは二つ返事で引き受けて、神殿を後にした。

*** *** *** *** ***

冒険者3 バイオレット ウォーリア/サモナー

 何かどエライ秘密を持つ戦士らしい。
 バイオレットという名前も、本名ではないとか。
 出自は犯罪組織らしいんで、過去に色々やらかしたんだろう。

 そんな色々とやらかした彼だが、今は冒険者をやっている。
 冒険者らしく酒場で割の良い依頼を探してたりするのだが、今日は面白そうな依頼を見つけた。

 依頼主は錬金術師。近場の洞窟に欲しいモノがあるので、それを取ってきてくれる冒険者を求めてる。
 バイオレットは報酬に釣られて、その依頼を引き受けることにした。

*** *** *** *** ***

冒険者4 くすのき メイジ/ニンジャ

 メイジの父親と、ニンジャの母親から生まれた一人息子。将来の夢は、巨大カエルに乗って世界を旅することだ。
 変わった夢だが、何より彼の名前が変わってる。くすのきという名前は、この大陸ではかなり珍しい。

 彼は母親に、自分の名前の由来を聞いた。
 母の生まれた国には、くすのきと言う名の悪党(幕府に属してない権力者)がいて、母はこの悪党の元で働いていたそうだ。
 その悪党経由で名前を貰った訳だが、その由来について、母は何も答えなかった。

 とある事件で、母は死んだ。そして父は母の敵を討つため、復讐の旅に出た。
 くすのきは傷心のまま、一人ぼっちで当ての無い旅をしてる。

 現在は人のよい錬金術師の家に寝泊りし、ただ飯を食らわせてもらってる。
 可愛そうな身の上の少年であるが、基本ばか。

*** *** *** *** ***

冒険者5 リクレール シーフ/ガンスリンガー

 種族はヴァーナ。しかもメス。所謂ケモノっ娘と言う奴だろう。
 さて、半人半獣のヴァーナとは、どんな容姿をしてるのだろうか?僕はウキウキしながら、ルルブに載ってるイラストを見た。

 なんて事はない。人の娘ッ子に、獣耳や尻尾が付いてるだけだ。
 いかんね、これじゃただのコスプレだ。どうせなら、もっとケモノらしさを押出せばいいのに。
 第一こんなんじゃ、ケモナー満足できないよ。猫耳生やしただけで半獣とか、もうオワコンでしょ。今の流行りはバファローベル、間違いない。第一猫耳生やすだけなら、僕だって出来るし。

*** *** *** *** ***

 という訳で5人の冒険者は、錬金術師の家に集まった。
 錬金術師は挨拶もそこそこに、依頼の話を始める。

 彼は、金色に輝く宝珠を探してる。
 その宝珠の場所は特定できたが、危険な場所なので、取ってくれる冒険者が必要なのだ。

 しばらく情報を聞きだした後、冒険者5人は錬金術師の依頼を引き受ける事にした。
 金のため、付き合いのため、依頼者に恩を返すためなど、以来を引き受けた理由は様々だ。

 こうして5人は依頼を受けると同時に、ギルド(パーティー)結成も果たした。
 5人ともクラスがいい感じでバラけてるので(まるで調整されたかのように!)理想のギルドと言えるだろう。

「んでマスターはどうするよ?」

 誰かが言った。
 それに対して、別の誰かが

「あー。じゃんけんでいいんじゃね」

 と言った。皆一斉に頷く。
 そして勢いよく「ジャン!ケン!ポン!」と言いながら、思い思いの形をした手を振り下ろした。

 結果、たった一度のジャンケンで、リーダーが決まった。
 5人が一斉にジャンケンして一発で勝負がつくなど、かなりすごい。

「・・・僕、勝っちゃったけど」

 ジャンケンに勝った少年は、ポカンとした表情のままつぶやいた。

「・・・いいんですか?僕、たぶん最年少ですよ?」

 まだ顔に幼さの残る13歳の少年は、思いもよらない成り行きに不安な顔をした。
 ・・・もしかしたら、怒ってる人とか、いるかも?
 少年はそんな心配をしながら、恐る恐るあたりを見渡す。

 しかし彼の予想に反し、他のメンバーは楽しそうにゲラゲラと笑っていた。
 怒ってる人など、誰も居ない。

「坊主!一発で決めるたぁ大した奴だ!」
「マスター!これからもこの調子で頼むぜ!」

 ジャンケンで負けた事に文句をつけるような冒険者は、一人も居なかった。
 皆気持ちの良い笑顔を浮かべてる。

 少年はホッとしたと同時に『これは大変なことになったぞ』と思い、カチコチに固まってた。

*** *** *** *** ***

 てな訳で、無事ギルド結成を果たした冒険者一行。
 祝福と蘇生のギルとサポートをとって、宝珠を探しに出発だ。

 宝珠の場所は、依頼人から聞き出してる。意外なことに、近場の洞窟にあるのだとか。
 この洞窟には【開かずの石扉】と言う扉があり、誰も洞窟の深部には入れなかった。

 しかし今は、その扉が開いてるのだ。
 どんな理由で扉が開いたのかは、分からない。ただその扉の奥に、宝珠がある。

 冒険者は具足をまとい、勢いよく洞窟へ向かった。
 近場の洞窟だから、大した危険はないだろう。
 そうタカをくくりながらの、出発であった。

*** *** *** *** ***

 何事も無く、洞窟に到着した。
 やっぱ大したことねーなと、お気楽な冒険者たち。

 だが・・・洞窟の出入口には、多数のゴブリンの足跡があった。それもまだ新しい。
 冒険者は嫌な予感に襲われた。どうも楽に宝珠を手に入れることは、無理そうだ。

 冒険者は、開かずの石扉なる巨大な扉(この大きさは扉というよりは、門だ)をくぐり、洞窟の奥を目指した。

 石扉の奥には、幾つもの部屋があった。部屋にはリドルあり、ゴブリンありと、気の休む暇はまるで無かった。冒険者、大忙しである。

 冒険者は傷つき、リドルで頭を混んがらせながらも、何とか宝珠を手に入れた。

*** *** *** *** ***

 宝珠を手に入れた、その直後ある。
 冒険者は思わぬ事態に遭遇した。
 【剛力のゴルボック】なる不埒な輩が、冒険者の宝珠を横取りしようと襲いかかって来たのだ。

 ラスボスとの戦闘開始である。

 すぐさま冒険者は陣形を組み、ゴルボックなる者を迎え撃った。
 どの冒険者も、スキルの出し惜しみはしない。剣と魔法の飛び交い、今までに無い激しい戦闘となる。

 幾許かの時間のあと、冒険者はゴルボックを撃退した。
 撃退はしたが、楽に勝てる相手ではなかった。皆どこかに怪我をしている。

 そしてお楽しみタイムの始まり。ボスの懐から、金目の物(ドロップ品)を頂くのだ。
 ボスのドロップ品を手に入れたら、冒険者は素早く洞窟を後にした。あとは手にいれた宝珠を依頼人に渡せば、仕事はおしまいである。

*** *** *** *** ***

 依頼を成功させた冒険者達は、えらくご機嫌だ。
 もう報酬の使い道を、仲間に話してる人も居る。
 既に酔っ払いと変わらないハジケっぷりだ。

 ・・・ただ、メイジのくすのきだけは、まるでご機嫌ではなかった。
 深刻そうな顔をして、何やら深く考え込んでいる。
 
*** *** *** *** ***

「いやー、ありがとうございます。これは約束の報酬です」

 宝珠を手にした錬金術師は、金貨の詰まった袋を冒険者に手渡しした。

「ガハハハハ!これぐらい楽勝よ!」

 袋の重みを手の平に感じながら、冒険者は豪快に笑った。

「また何かあったら呼んでくれ。報酬の分キッチリ働いてやるぜ!」
「その、錬金術師さん。少し、聞きたい事があるのですが・・・」

 誰かと思えば、くすのきだった。彼だけは金貨の袋をもらっても、ニコリともしていない。
 何でしょう?と錬金術師は聞き返した。

「僕・・・この金色に輝く宝珠、どこかで見た事がある気がします」
「え!?」

 錬金術師は驚きのあまり、飛び上がった。そりゃこれから研究する宝珠を『見たことある気がする』と言われれば、誰だって驚く。

「い、一体、これをどこで!?」
「それが・・・まるで、思い出せないんです」 

 興奮する錬金術師に対して、くすのきは申し訳なさそうに言う。
 ポカンと口を開ける錬金術師。見た事あると言えば、次には思い出せないという。

「ですから、錬金術師さん・・・。この宝珠が何か分ったら、僕にも教えてもらえませんか?」
「むむ・・私も君の話には興味がある。よし、出来る限り力になろうじゃないか」

 お人好しの錬金術師は、くすのきに約束した。

 さて、思わぬ所に仕掛けられた伏線。
 一体くすのきは、何を知ってるのか。そしてこれから冒険者一行は、どうなってしまうのか。
 それは次回のセッションにて、明らかになる。

おしまい


【追記】

と言うわけで、アリアン2Eの初セッションは無事終わりました。
特に何事も無く、最後までスムーズに進んで楽しかったです。

んでちょっとした、シナリオの感想を。
今回のシナリオは
① 初セッション
② 初心者
というキーワードを念頭に置いて作ったみたいで、ナルホド1発目としては掴みオッケー、とても分かり易いシナリオでした。
まだ僕らはダイスの振り方も知らない初心者ですから、ガチで来られても対処しきれません。それを考えると、バランスよくシナリオ作ってるなーと感じました。

次はダンジョンについてですが、部屋の数もリドルの難易度も、初心者に十分対応できるものでした。
だからと言って手を抜いたり、投げやりなダンジョンでも無かったです。
作る所は作って、無駄は省いてという良質なダンジョンでした。

という訳で、初心者向けのシナリオは終わり。
次回からは、ややガチシナリオ・ややガチバトルになるそうです。
GM曰く「大体のパーティーの実力は掴んだ」との事ですから、こりゃ恐ろしいです。


おしまい

雑記 アリアンロッド2E・とりあえずキャラ作成

 セッションを行う前に、キャラ作成しました。

 現在のパーティーは4名。
 使用するクラスはウォリアー・アコライト・シーフ・メイジと、バランスいいです。
 そして全員ウォリアーじゃなくて、ホッとしてます。ビバ脳筋。

 んでサブクラスと種族は、下記の様になりました。(ただしキャラ作成から日数が立ってるので、変更されてるかも・・)

① ウォリアー/ウォリアー・ヒューリン
  パーティーの壁であり、イケてる脳筋。彼が倒れたらパーティーオシマイらしい。
② アコライト/セージ・ヒューリン
  プレイヤーはモンクも捨てがたいと悩んでたが、はて結局どうなったか。
③ シーフ/ガンナー・フィルボル
  もしかして、拳銃強盗・・・!?
④ メイジ/ニンジャ・ヒューリン
  プレイヤーは「え?メイジってセージ固定なの?モンスターロアって何すか?」と終始戸惑い気味。

 僕はまだこのゲームプレイしてないんですが、ルルブ見る限りは無難なパーティーじゃないかと思います。万一駄目でも、サブクラスの変更が効くのは有難いですね。

 で、僕のPCなのですが、④のメイジ/ニンジャ・ヒューリンです。スキルは土系統の物を選び、気分はすっかりジライヤです。
 あれ?ジライヤならサモナーじゃないの?と思わなくもないですが、ニンジャ/サモナーって出来ないですからね。残念。

 んで選んだスキルは、以下のようになりました。

■メイジ
・アースブレイカー
・アースバレット
■ニンジャ 
・ブラッティフィート
・ホーミングヒット

 いやー、メイジとニンジャ合わせて40近いスキルから『正解』を選ぶは大変でした。まだゲームしてないので、スキルを選ぶにしてもイメージが湧かないんですね。

 ・・・という訳で、アリアンをプレイした事がある人なら、このスキル選択を見て「あれ?」と首を傾げたのではないでしょうか?もちろん僕には、何の事かサッパリ分かりませんでした。

 それが分かったのは、キャラ作成を終えた数日後の事です。

*** *** *** *** *** 

 僕は額から脂汗を浮かべながら、リングテイルにて名作ボードゲーム『カタン』をプレイしてました。
 ゲームは終盤に差し掛かっており、1位の独走を誰も止められない状態でした。

「つーかさ、ぶっちゃけカタンって運ゲーじゃん。戦略性が薄くて、勝利した時の達成感がないよね」

 ドンケツを走ってる僕は、両コブシを真っ赤になるほど握り締めながらそう言いました。決して泣いてません。

 そんな時です。
 GMのTさんが、リングテイルにやって来ました。

 僕は「やぁ来た。よー来た」と言いながら大急ぎで席を立ち、Tさんを労います。
 椅子から立ち上がった際、カタンのボードから1位の人の街が破壊されるという、何とも悲しいアクシデントが起こりました。もちろん全くの偶然です。

 僕は手際よくボードを畳み、Tさんに席を勧めました。
 するとTさん、僕のキャラクターシートを鞄から取り出して、こんな事を言います。

「えっと一二三んさん。アリアンのキャラですが、もしスキルに拘りがなければ、こういうのはどうでしょうか?」

 彼はメイジの【アースバレット】をニンジャの【ランドフィッシャー】に変換する事を進めてきました。
 僕はその手があったかと、ポンと手を打きます。

「なるほど・・・。これで土属性の魔法が使えたまま、更にメイジのスキルが一つ取れる訳ですね」

 僕は、コンボの決め方が甘いなと実感した。
 そしてスキル選択性のゲームは、はやり経験者の助言は有難いものなんだなとヒシヒシ思う。

 そんな訳で、ちょちょいとキャラ作成をし直しました。
 GMの助言のままスキル名を書き換える時

「僕のPCは、いい子に育ってくれるといいなー♪」

 と僕は軽く口ずさむのです。
 セッション、楽しみですね。


おしまい
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